Mashiro Chronicle

長文をまとめる練習中 割となんでも書く雑食派

真白がかわいい。

真白がかわいい。

 

有坂真白がかわいい。

 

よく、そこで思考が行き詰まる。

 

大抵この後、「愛しい誰かの名前を呼び続けるだけ」という状態が私を襲う。真白の名を連呼して息を切らし、真白の名を呟いて嘆息する。真白の名を囁いて心が穏やかになる。そして、真白の名をなぞってそのまま糸がぷっつりと切れたように動かなくなってしまう。

 

知らない人のために念のため解説しておくと、有坂真白は『蒼の彼方のフォーリズム』というヴィジュアルノベルの中に登場する女子高生である。

 

いや、ここは女子高生という言葉を控えよう。真白は真白だ。

 

そう、真白は真白という事実は、実は大変に重たい。

 

真白の要素を並べ尽くすことはたやすい。金髪ツインテールで低身長、後輩キャラで当初はお姉さんポジションに当たるみさき先輩ラブだった。致命的に不器用で成功経験が少なく、主人公との恋愛を通して少しずつ努力の本当の価値を知っていく、というキャラだ、

 

だが、これらはすべて、真白であって真白ではない。

 

そうした要素を組み合わせても、真白には程遠い何かが生まれてしまうだけだ。

 

真白は組み立てられないのである。それはすなわち、真白は解体できないことを意味している。

 

真白は常に、真白という全体を保っている。そして、いつだって真白という形で私に働きかけてきた。

 

その神秘が、私をこの世の端まで追い詰める。私がこの世の端だと思って観念しても、そこは真白の掌の上に過ぎないこともある。真白は、いつだって私の手の中にあって、私を包み込んでいる。

 

そのことに気が付くと、私はいつも言葉をかなぐり捨ててしまう。いや、捨てているのは、言葉というもので支えられた私の理性である。後に残るのは、「真白」という名前だけだ。

 

真白を語ることは簡単だ、だが、それは真白を騙ることに繋がってしまう。それは、たとえ誰であっても許されない。

 

真白は、要するに思考の限界なのである。神だとか永遠だとか、そういった類のものと同じだ。そこから愛だとか人生だとか世界だとか、まだ私たちが掴んでいそうなものたちが流れ出てくる。真白とは湧き水のごとき存在であって、湧き水ではない。むしろ、湧くという事象の方であって、あるいは湧く前の何かであって、湧いた後に私が目撃する何かではない。

 

言葉とともにあったような存在を、言葉で語ることはできない。

 

真白は私の理性の向こう側にすっと流れ込んで、私の命の源、その奥底へと沈んでいく。そのままふっと私ごと持ち上げて、私をこのどうしようもない世界から連れ出してくれるのだ。

 

真白と私、それから世界。それらが一瞬、俯瞰的に見えてくる。

 

そこに、私が語るべき言葉はない。

 

かくして、私は真白の名を呼び続ける。