Mashiro Chronicle

長文をまとめる練習中 割となんでも書く雑食派

音楽理論0の印象論的オススメアニソン2018冬

アニソンを語るというのは、実は結構難しいことだったりする。

 

まず、どこからどこまでがアニソンなのか、という定義が難しい。楽曲の作り方や世間での受け止められ方を考えると、いわゆる声優ソングやメディアミックス系の音楽もアニソンに分類されるらしい。しかし、狭義としてのアニソンももちろん生きていて、むしろtwitterなんかを眺めていると、割と狭義のアニソンにしか通用しない切り口から好き嫌いを述べている人も多い。

 

つまり、往々にしてこういうことが起こる。あなたが話しているアニソンと、彼が話しているアニソンは別物なのだが、それに気が付かないままトークが進行し、お互いに違和感を抱きながら会話が不調に終わる、という事態が。

 

そうなってしまうのは避けたい。アニソンについて語るというのであれば、その辺りははっきりとした態度を示しておかねばならない。

 

ということで、この記事では狭義のアニソンについて、音楽知識皆無・印象論的に語っていこうと思う。

 

狭義のアニソン、というのは、つまり、実際にアニメで使われた曲、ということだ。だから、実際には従来のJ-popのカヴァーに過ぎないような曲も範疇に含まれる(今期だと『高木さん』の「小さな恋のうた」など)。逆に、アイドル育成ゲームの劇中歌なんかは除外される。

 

広い意味でのアニソンについて、音楽的な理論や作編曲する側からの視点を取り入れながら語る記事が読みたいのであれば、私の知人がやっているブログを覗いてみて欲しい(まさかの無断リンク)。ここでは、そうではない視点、むしろ積極的に印象論を取り入れながら語ってみようと思う――ある意味、実験的な文章だ。

 

前置きが長いことに定評のある私のブログだが、今回は特に長かった。では、2018冬のアニソンを眺めてみようではないか。

 

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1.「ここから、ここから」 『宇宙よりも遠い場所』ED

 

youtu.be

 

 ヒゲドライバーが全面的に関わってできた名曲。随分静かに入ってくるのだが、アニメの音楽演出的には扱いやすい感じに仕上がっていて、どのタイミングでイントロを流し始めるのかでお話の印象がガラリと変わる。ほぼ全編を通じて後ろで鳴っているキーボードのループが印象的……ループとはいえ、微妙に変化はつけてあるんだけどね。ヒゲドライバーはこういうのが得意なのかなあ、私の中での彼のイメージといえばWindowsのアレなので、余計にそう思ってしまうのかもしれない。

 というかそのキーボード(ピアノ?)の音作りがいいよね。ちょっとはじけて、キラキラしてる感じの音がいい。南極の透明な氷を思わせてくれるし、一方では女子高生の一瞬の輝きを感じさせてもくれる。そう思うと、実は南極って青春にぴったりの場所なのかもしれない。

 

 

2.「CLEAR」 『カードキャプターさくら クリアカード編』OP

 

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 坂本真綾。正直それだけで終わってもいいんだけど、流石にそれだと項目を立てた意味がないかな~、とも。『クリアカード編』だから「CLEAR」なんだ、という単純な事実に気が付くのに数ヶ月かかったのは内緒。曲をつけたのはいきものがかりの人らしい、まあ確かに節回しとかサビの親しみやすいメロディーラインとか、言われてみればいきものがかりっぽさがある。というかいきもののボーカルが歌っても違和感はなさそう。歌詞も1番はいきものっぽいんだけど、2番のサビがもろに坂本真綾って感じ、特に「夢って~やって来るの」あたり。

 以前、上で紹介したブロガーが「転調が『プラチナ』より分かりやすいのはさくらが中学生になったことと関連してるのかな」と言っていた。個人的には、坂本真綾自身の成長も大きいと思っている――まっすぐに歌うことしか知らなかった彼女が少女の神秘性を丁寧に表現したのが「プラチナ」ならば、あれから20年弱、かなしみも苦しみも乗り越えた先で掴んだ力強い足取りを見せつけたのが「CLEAR」なのでは。彼女の成長を「CLEAR」所収のライブ音源版「プラチナ」で聴くとそれを強く感じる。

 

 

3.「SHINY DAYS」 『ゆるキャン△』OP

 

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 EDとどっちを紹介しようか迷ったけどやっぱりOPで。前述のブロガーと話した時に「これってR&Bなの?」と聞いてみたことがある。答えは「ポップス寄りのソウルなのでは」だった。R&Bとソウルの違いは未だに分からない。キャンプにこういう曲がぴったり嵌るかどうか最初不安だったが、サビの入りでテントが飛ぶ辺り、前へ前へ押し出そうとするこの曲のリズムが(あるいはグルーヴが)、一歩一歩足を元気よく出していくキャンプやハイクには似合うのかもしれない、とも感じた。

 こういう曲を歌うのは本当に難しくて、何がとりわけ大変かって、ボーカルが自分でリズムなりビートなりを作っていかなきゃいけないこと。バックの演奏に頼らないグルーヴ、と言えばそれっぽいのかな、分からない。とにかく、歌唱力が必要なことは確かだ。歌っている人(亜咲花)は18歳らしくてその若いパワーに震えてる。個人的には『セントールの悩み』のEDだった「Edelweiss」の頃から聴いてるんだけど、なぜか周りの人はほとんど誰も「SHINY DAYS」まで知らなかったそう。まあ、歌が上手いだけの人からひと皮むけて欲しいなあ、とは思っていたけど、この曲でそれが成し遂げられたのでは。個人的には今期一番ヘビロテした曲。

 

 

4.「Bright Burning Shout」 『Fate/Extra Last Encore』OP

 

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 期待の超大型新人がアニソン界に激震をもたらす――っ! なんて茶番はどうでもよくて。まあ流石にインパクトある曲になったよね。作詞がユニゾンのベーシスト(田淵)で作曲がおなじみ『化物語』の人(神前)なんだからハズレる方がおかしいのだが。ただユニゾンの人が作詞しかしなかったのは意外だったかな。

 何が凄いってこの曲についた映像が凄い。シャフト頑張った、これは文句なしの堂々たるOPである。正直このカッコいい映像で曲の印象がぐっと良くなったって面も否定できない(なんて書きながら公式のOP映像を貼れない無能)、いやいい曲なんだけどさ。話が進んでいくにつれてサビの歌詞が効いてくるようになって、純粋にアニソンのOPとしても評価できる。サビのカッコいいメロディーや言葉たちが主人公の復讐という悲愴な決意とオーバーラップしている。

 

 

5.「GO CRY GO」 『オーバーロードⅡ』OP

 

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 初めて聴いた時はTomっぽいかなあと思ったんだけど、作曲はオーイシの方だった、よく分からない。なんかサウンドでキメキメにしてきてる印象だったのと、Aメロのバックがあんまり明瞭じゃない感じだったから、分かりやすいオーイシっぽさは感じなかったんだけど。

 まあでも、この曲はやっぱりCメロだろうね。ああいうコテコテのコーラスで、それこそ「分かりやすい」コード進行ぶち込んでくるのって割とロック界隈ではあるのかなあ、これもよく知らない。ただなんとなくQueenとかそっち系の音楽も思い浮かんだし(単に「Bohemian Rhapsody」のイメージが強いせいかもしれない、その程度の理由ならThe Beatlesまで遡ってもよさそうだけど)、なんならメタルとかヘヴィとか辺りも脳裡をよぎった。どういう注文でこの曲ができたのかとかも一切分からないが、まあとにかく、ロック寄りなら今期はこの一曲。

 

 

6.「風の声を聴きながら」 『スロウスタート』ED

 

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 絶賛売り出し中三月のパンタシアによるED。あんまりビブラートかけない歌い方だから、声がまっすぐに伸びてくる印象を受ける。力強さとかはないけど、その分歌詞がストレートに耳まで届くように感じられた。

 まあこの曲は歌詞だと思うので。「いつか小さな~くるよね」っていう、その一節で心が少し、ほんの少しだけ前を向いたことが分かる、その小さな変化を、ボーカルの持つほの暗さのある声質で丁寧に歌い上げてくれているのがよかった。『スロウスタート』のテーマがそこにあるので、そういう意味ではとてもアニソンしている。

 

 

7.「POP TEAM EPIC」 『ポプテピピック』OP

 

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 映像が無駄にスタイリッシュなことで話題を呼んだ上坂すみれ楽曲。いや、話題になった理由は曲というよりアニメそのもののせいだと思うけれど。ある意味、OPをあんなカッコよくして、映像も気合い入れて作る、そのこと自体が仕掛けられたギャグなんだよね。そのくせ本編はあの調子なんだから。要は仰々しいのだ。その仰々しさが笑いに繋がっている。

 藤津亮太が指摘しているように、『ポプテピ』自身はギャグアニメとして「アニメってなんだろう」という疑問と真正面からぶつかっている、否、私たちにそのことを問いかけることで笑いを提供している。その問いかけのひとつがOP冒頭の実写アナログテレビ破壊シーンであり、あるいは10話再放送で見せた唐突なOPの変化なのだと思う。スタイリッシュなのも仰々しいのも笑いのうち。実は今期一番音楽性だけで語れないアニソンなのでは、とも思う――『ポプテピ』の楽曲すべてに言えることだけれど。

 

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やっぱりアニソンを語るというのは難しい。切り口は多彩だし、かといって音楽性に関する言及を抜くとそれはアニソンレビューではなくアニメレビューのアニソン側面になってしまう。どうしようもないことだが、今はとりあえずここまでにしておこうと思う――その実、単にこういう記事を書きたくなったというだけなのだから、その欲求が解消された辺りで引っ込むのが正しい選択なのだろう。