Mashiro Chronicle

長文をまとめる練習中 割となんでも書く雑食派

七海にまつわるエトセトラ 【『RIDDLE JOKER』プレイ感想番外編】

七海がかわいかった。

否。七海がかわいい。

かわいいとは過ぎ去った何かではない。まだ掴み得ぬ何かでもない。かわいいとは、確たる現実だ。

だから、もう一度こう言っておこう。

七海がかわいい。


抑圧されていた想いというのは、桎梏がなくなった途端に暴れ始める。

そのことは、個人的な経験としてよく思い知っている。

押し潰していた時間に合わせて、想いが肥大していくこともよく知っている。

悲恋であればあるほど燃え上がるのは、もはや必定だ。


自分は愛に飢えている。自分はあの人からの愛に渇いている。

そのことをオープンにできれば、どれほど人生は楽だっただろう。

現実には、愛は告白できない。様々な事情がこの想いを繋ぎとめる。

時間だけが積み重なって、想いだけが募って、そのうち自分の心も身体もズブズブに重くなっていく。

最後には、自分自身が沼になってしまうのだと予感しながら。


とりわけ初恋は重要だ。初恋が重たい何かになるだけで、その人の人生は決まってしまう。

アンビバレントな愛着表現しかできないのであればなおさらなのだが。

そのことに、私は気付いてしまっていた。

だからこそ、七海の嫉妬も執着もかわいらしいの一言で片付けられなかった。

幾度となく恋を諦めたその先で掴んだ喜びを、否定することができなかった。


思うに、ノベルゲーは甘い地獄だ。

プレイヤーもキャラクターも、可能性や世界線という言葉に身を任せて、己をみるみる引き裂いていく。

その先で幾度となく甘美な結末を味わいながら。

その地獄に進んで身を投げた自分だからこそ、七海を直視できなかった。

否、七海を受け止めるよりなかった。


オモタイアノ子に花束を。

その花束の「重み」を知るのは、自分の愛の重みに潰された人だけである。

願わくは、二人の重みが重なりあって、軽い何かが失われんことを。

息詰まる愛の滴がお互いの肺を満たして、二人の時間は静かに淀んでいく。

引き伸ばされた時間が二人を包み込んでは融けていって。

また二人の重みへと変わっていく。


七海はかわいい。

その現実を口にする時、私は未だ見ぬ永遠を感じ取るのである。