Mashiro Chronicle

長文をまとめる練習中 割となんでも書く雑食派

白鳥はかなしからずや: 『ましろ色シンフォニー』

Twitterが、俄に騒がしくなった。

 

アダルトゲームのブランド・ぱれっとの作品主題歌などを披露するファンイベントの中で、『ましろ色シンフォニー』のルート追加版の制作が発表されたらしい。

 

ましろ色シンフォニー』(以下『ましろ色』)は、遡ること今からちょうど十年前、この世に出てきたエロゲだ。アニメの出来が評判になり、今日では当時の代表的なアダルトゲームの一本とみなされるまでに至っている。

 

ましろ色』には非常に印象的なサブヒロインがいて、彼女のルートが当時熱望されていたものだ。実際、全年齢向けPSP版では新規ルートが収録されたのだが、如何せんそれが十八禁版へ逆移植されることはなく、十年の月日が経った、というのがあらましである。今回発表されたのは「+SANA Edition」というタイトルだけで、実際それ以上の情報は(少なくとも公式からは)公表されていない。だから、そのサブヒロインのルートが逆移植(あるいは、新規書き下ろし)されるのかどうかまでは、実は分からない。ひょっとしたら、ファンイベントではもう色々と情報が提示されたのかもしれないが。

 

とはいえ、私にとっても思い入れある作品たる『ましろ色』の情報ということで、心が浮足立ったのも事実だ。種々の感慨を抱き、私はやおらパソコンの電源を入れた。もちろん、今一度『ましろ色』を紐解くために。

 


 

開いてすぐ、私の胸に、思っていたよりも大きな感情の波が押し寄せた。巷で「エモい」と呼ばれる類のものだろうか。そう、「エモい」。この作品は、どこか全体的に「エモい」気がする。

 

四対三のウィンドウに表示されるタイトル。流れてくるタイトルBGM。どこか時の流れに乗り遅れてしまったかのようなシンセの音づかい。なるほど、これは「ノスタルジー」か。「エモい」の正体の一つは、確かに昔を懐かしむ時のこの気持ちかもしれない。間違ってはいないと思う。

 

だが、その考えはすぐ大きな挑戦者を迎えることになる。セーブ画面を開いた私は、少し驚いた。最後のセーブデータに残された日付は、2018年の11月。最後にプレイしてから、まだ1年も経っていなかった。

 

もちろん、作品の作り自体にどこか古めかしさがある、という意味で、『ましろ色』はノスタルジックだろう。ただ、同じ懐旧でも、『ましろ色』それ自体が懐かしい、というタイプのものではなかった。それどころか、私の中において、『ましろ色』はまだまだ新鮮な作品だった。その事実を思い知った時、私は、この作品は郷愁以外の何かをもたらしてくれるのではないか、と直感した。これは推測だが、1年前の私も、そう思ってこの作品を開いたのではないか。なんとなく、そう思った。

 

私は、セーブ画面を閉じ、『ましろ色』の冒頭部を鑑賞することにした。白が画面を覆い、ふわりと青い縁取りの文字が浮かぶ。男の子と女の子、二人の間は何色か――作品が、私に語りかけてくる。まだ何色にも染まっていない、しろ。この白は、二人の恋の色であって、まだ始まっていない物語の、今の色なのかもしれない。そう思ったところで、カレンダーが時を刻んだ。

 

夜空が浮かぶ。やや唐突感のある、シナリオの出だし。ヒロインの声が短く入り、直後、主人公の独白が挟まる。CGの全景が露わになって、私の前にヒロインが登場した。印象的な掴みだ。この出だしは相当練られたものだろう。この出だしの文章もそうだし、音楽もどこか電子感のあるピアノのメロディラインが、この作品の向かうところを示しているようで、自然と胸が高鳴る作りだ。何より、演出が濃い。冒頭とはいえ、このCG一枚にどれだけスクリプトを組み込んだのか。その演出プランも、局所的にしか判断できなかったが、上質だ。ああ、この感覚かな――私は一度、ゲームを開いたまま休憩を入れた。いい作品に巡り合った。そう直感した時の、僅かな気後れ。心地よい気怠さが、私に訪れた。

 

水を含んで、再び作品と向き合う。クリックしていくと、冒頭からずっと鳴り止まない音楽の代わりに、シーンが細かく分割されていく。ところどころ、暗転してスタッフのクレジットが入る。そこまで来て、私はようやく思い出した。半年少し前、たまたま『ましろ色』の主筆だった保住先生にお会いする機会を得たことがあった。その時だったか、少し後だったか、上手く思い出せないが、確か、私がこのように聞いたのだった。『ましろ色』の冒頭はかなり変わった作りになっていたが、あれは何を意図したものだったのか――。保住先生の回答が蘇る。「映画」、だと。

 

ポップカルチャー評論において扱いの難しい言葉に、「映画っぽい」がある。特に長編アニメでは鬼門となる表現だ。ある作品を「映画」と評すれば、それはもちろん、暗にそのジャンルの他の作品は「映画」ではない側面を強く持っている、というニュアンスを滲ませてしまう。であるならば、「映画」とはなんなのか、という問いが、当然投げかけられてしまうだろう。劇場公開が前提の長編アニメは、一面的にはどう考えても<映画>なので、とりわけ「映画」という表現には気を付けなければならないのだ。

 

そしてそれは、別に長編アニメに限った話ではない。アダルトゲームでもそうだ。だが保住先生は、「映画」を目指した、と明言した。であるならば、プレイヤーは、どこにその要素を含ませたのか、きちんと捉えるべきなのではないか。少なくとも、その努力はすべきだ。このオープニング部の構成だろうか。掴みの作りや、時系列を少し刻んだエピソードの進行のさせ方。そして、特にバラバラになったエピソードたちを繋ぎとめる、音楽。ひょっとすると、音楽が重要かもしれない。冒頭から一貫して流れるこの曲は、オープニングがまだ続いている、という証である。弦楽器のレガートも、それを表している気がする。

 

ただ、もう数クリックして、ヒロインの立ち絵が現れると、やっぱり演出かな、という気にもなった。この作品には、ヒロインがこちらに背を向ける立ち絵がある。小さな違いのように見えて、これは相当に大きい。普通のエロゲでは、この立ち絵素材を作らない。普段見せない服の背中側の設定まで細かく描写しなければならないなど、やたら労力がかかる割に、ヒロインの顔が見えない瞬間が多い立ち絵になるからだ。もちろん見返りの図などを用意するブランドもあることはあるが、頭部に至るまでこちらに背を向ける素材までは提供しないところがほとんどだ。これは、シナリオライタースクリプターが、演出について相当ワガママを言える状況でなければ作られない。

 

シナリオライターは、案外この「背を向ける」差分を欲しがる時がある。その理由は簡単で、特に共通ルートなどヒロイン同士の絡みが多いシーンで、誰がどのような立場にあるのか図示できるためだ。主人公に対する向きと立ち絵素材の大きさで、平面である背景の上に、空間の形成が可能だ。

 

なるほど、ひょっとしたら、オープニング部に限らず、この作品はその意味で「映画」かもしれない。「映画」は、ある空間をカメラで切り取って、平面に落とし込むものだ。『ましろ色』はちょうどその逆で、平面の構成によって、空間を再現しようとしている。この作品は、空間を作って、その中にいるヒロインたちの機微を描写しようとしているのではないか。その読みは正解だった。もう少しゲームを進めると、透過素材にプロップに、と演出素材が山のように投入され始めた。立ち絵もぴょこぴょこ細かく動く。なるほど、確かに「映画」かもしれない。そう思った。

 

とはいえ、私の中には違和感もあった。濃い演出、練られた演出というのは、素材だけで成立しない。迂遠な言い方を控えれば、普通、そのような作品には「モチーフ」が挿入されて然るべきだ。そして、その違和感を言語化できた時、私は冒頭の言葉たちの意味を知ったのだった。

 

恋は、ましろ色。

 

この言葉は、テーマのように見えて、実のところモチーフだった。秋から冬に移り変わる時期という、エロゲではなかなか題材にされない季節を選んだのも、このモチーフのためだろう。雪や氷の持つ、少し冷えてキラキラした、透明感のある、白と青。思い返せば、タイトル画面も真っ白だった。清涼感のある季節に出会った男の子と女の子の、「これから」の物語が、今始まろうとしている。参った、これは正しく「映画」だ。

 

ましろ色』は、男女の関係を通じて、お互いが変わっていく様を丁寧に描いている。それは、たとえば愛理ルートでは直接言葉にされるし、みうルートでも、件の紗凪の態度で示される。だがそれは、二人が変わったのであって、二人の間の恋の色が変わったわけではない。「まだ」何色にも染まっていないだけで、これから染まっていく可能性もある。ただ、本編の中で、そこまでは示されない。あくまで、恋は「"pure" white」のままだ。

 

本編の中で、二人はむしろ、恋によって脱色され、徐々に透明になっていく。あの、冬の痛々しいまでの輝きを、纏っていくのだ。その二人の間の恋は、「未だ」白色のまま。

 

この「映画」が撮りたかったものは、その白ではなかったか。それに気づいて、私はようやく合点がいった。「エモい」のもう一つの正体は、この輝きだ。そう確信した。

 

この手の輝きは、誰しもが経験し得るものではあるが、普通、一瞬のうちに過ぎ去っていく。『ましろ色』は、その輝きを、丁寧に丁寧に閉じ込めた作品だ。私たちが流れる時のどこかに置いてきたものを、『ましろ色』は持っている。この作品から感じるノスタルジーも、あるいはこれが正体かもしれない。ならば、なおのこと『ましろ色』の「エモさ」とは「白」だ *1

 


 

二人の間の恋は、未だ染まることなく、2019年までやって来てしまった。その間、男は青で女は赤、というようなステレオタイプも、随分議論に晒されてきた。それでも、この恋だけはましろ色だった。冬のつんと張り詰めた、気高い美しさを纏いながら、『ましろ色シンフォニー』は私たちの前に立っている。時の流れに取り残されるのは悲しくないし、いじらしく思われる必要もない――そう言われた気がした。

 

そこまで感じ取って、私は『ましろ色』を閉じた。三十分くらいのプレイだっただろうか。この輝きは、今の私には眩し過ぎた。

 

 

(了)

 

 

*1:最近出た『アオナツライン』(戯画)も、映画を目標にしていた。この作品と比較してみるのも面白いだろう。

FD発売前の今『千の刃涛、桃花染の皇姫』について考えてみる

2019年の9月になった。ブラウザゲームの『あいりすミスティリア!』を除けばオーガストにとって久しぶりの新作となる、『千の刃涛、桃花染の皇姫 -花あかり-』が今月末にやって来る。もちろん、『千の刃涛、桃花染の皇姫』(「せんのはとう、つきそめのこうき」。以下『千桃』)のファンディスク(FD)なので、純粋に新作とは言えないが、それでも、ファンの期待は大きい。

 

とはいえ、私見を述べれば、『千桃』はその複雑さの割に、十分な議論が為されてきた作品ではない。ここでは、『千桃』がどのように語られてきたかおおよそまとめた上で、もう少し別の視座から、この作品を捉えてみようと思う。願わくば、この文章が、私から『花あかり』への祝電にならんことを。

 


 

さて、語る前に、『千桃』の基本的な情報について抑えておきたい。『千桃』は、2016年9月23日に発売された、オーガストのアダルトゲームだ。前作『大図書館の羊飼い』が学園生活を大きくフィーチャーした作品だったのに対し、『千桃』は歴史ファンタジーであり、毛色を大きく変えてきた。

 

物語は、ある記憶をなくした剣士・鴇田宗仁(ときた・そうじん)が、夜道、一人の少女と出会うところから始まる。舞台は、三年前に戦争で敗北を喫した皇国の首都・天京。かつては神秘の力・呪術を用いて他国の侵攻を拒んでいたが、敗戦に前後して呪術の結界が突如動作しなくなり、直後、拡大戦略を取り敵対する共和国の侵入を許してしまう。以降、皇国では皇帝が殺害、傀儡皇帝が立てられ、執政は共和国に融和的な宰相が取り仕切ることになった。街には共和国軍が跋扈し、皇国民を虐げている。そんな中、かつて皇国の軍事力を担っていた武人たる宗仁は、仲間の奉刀会一味と共に、政権転覆計画を立案する。その実行の直前、宗仁は桃色の髪をした少女・宮国朱璃(みやくに・あかり)と出会う。

 

ヒロインはメインが5人、サブが3人。サブヒロインのルートはシナリオから分岐する形ではなく、Hシーンに付属する中編の物語を、独立した形で読むことになる。メインヒロインの陣容は、前皇帝の一人娘にして正統なる皇帝の世継ぎ、宮国朱璃を中心に、宗仁の妹で傀儡皇帝の鴇田奏海(ときた・かなみ)、皇国の宗教を守る巫女の椎葉古杜音(しいのは・ことね)、共和国から派遣された総督の娘で現在は副総督のエルザ・ヴァレンタイン、そして、主人公の属する奉刀会の会長で幼馴染の稲生滸(いのう・ほとり)となっている。

 

シナリオ構成は、比較的長い共通ルートから、徐々にヒロイン個別ルートが分岐していく所謂「トゥルー一本木」構成だ。トゥルーを担うのは朱璃であり、それ以外の物語は本筋から逸れる形で展開され、「IF」としての色がかなり濃く出ている。

 

物語の焦点は、おおよそ3つ。1つには、皇国を守っていた「呪術」の実態、というものがある。なぜ敗戦直前、呪術の結界は動作しなくなったのか。この呪術は、物語の展開される世界においてどのように動作するものだったのか。より端的に言えば、呪術の設定についての謎、ということになろう。2つ目は、皇国の支配形態だ。現在、皇国はどのように統治され、その統治を担う人物は何を考えているのか。今後政治を担っていく者や、政界の頂点を窺う人々は、どのように現実と理想の間でもがくのか。思惑絡みのヒューマンドラマ的要素だ。そして、その2つが絡まるところに、3つ目の焦点がある。それは、皇国の歴史、である。畢竟、このシナリオは歴史ファンタジーである、とは冒頭述べたところだ。

 

以上が(若干恣意的な)『千桃』の(主にシナリオ部分の)概要になる。この作品は歴史ファンタジーであり、所謂「シナリオが重い」「シナリオもの」との形容が纏わりつくジャンルに分類される。従って、『千桃』のレビューや感想のほとんどが、そのシナリオ部分に着目したものになっているのも自然な流れである。

 

特に『千桃』は、そのシナリオ構造と、オーガストにしてはファンタジー色が濃くシナリオゲーの要素が強いことから、2作前の『穢翼のユースティア』と比較されることが多かったように思う。これも当然の流れであろう。『ユースティア』も『千桃』も、トゥルーを担当するヒロイン以外の個別ルートがやや短い、という共通点を持つ。一方、『ユースティア』は、トゥルーにおいて、「物語としての綺麗な終わり方」とも言うべき、物語世界における必然性を重視したシナリオを展開したのに対し、『千桃』はそれよりハッピーエンドに寄せた構成になった。おおよその評論は、以下のように要約できるだろう。

 

「『ユースティア』は、ファンタジーものとして完結しており、純度が高い作品だ。一方、そのトゥルーのほろ苦さは賛否両論を呼び、また、複雑な設定がライトなユーザーから敬遠されたきらいがあった。そこから数年経って制作された『千桃』は、ハッピーエンドを求める人々に配慮し、若干ご都合主義的な展開が見られるようになった。また、分かりやすくユーザーにアピールする設定ポイントとして学園要素を混ぜ込んでみている。すなわち、『千桃』は、正統派ファンタジーをライト層にも訴求できるよう作り変えた結果、ファンタジーとしての純度が低下してしまった作品である」

 

以降、『ユースティア』の方が好きか『千桃』の方が好きか、という議論が繰り広げられるのがお決まりのパターンだ。派生形としては、学園要素と国家間の争いを融合させた作品として『コードギアス』を取り出し、それと比較するレビューなどがある。

 

長い前置きになった。本稿では、基本的に『千桃』のシナリオに焦点を当てつつ、これまでのレビューとは異なった角度から作品を捉えてみたい。そのために、まずシナリオではなく設定の面について、『羊飼い』でも『ユースティア』でもない作品との比較から、まず始めてみたいと思う。その後に、このシナリオのねらいやゲームの構造について検討する。

 


 

『千桃』の設定を考える際に比較対象としたいもの――それは、遡ることさらに数作前の『夜明け前より瑠璃色な』(『けよりな』)である。今日でもオーガストブランドの代表作とみなされているエロゲ界の大傑作を、敢えて『千桃』の比較材料に使ってみたいと思う。これは個人的な考えだが、オーガスト自身にとってブランドの参照点とは、長い間『けよりな』ではなかったか。『けよりな』以降のオーガスト作品は、『けよりな』からどう離れ、どう近づいたかで整理できないか、というのが、筆者の仮説だ。

 

筆者が『けよりな』と『千桃』で比較してみたいポイントは、「ヒロインの配置」と「主な舞台になる街の構造」である。その前にまず、センターヒロイン(メインヒロインの中でもシナリオの柱になっている1名)の設定をさらうと、フィーナは「月からやって来た」「一国の姫」で、「主人公宅にホームステイ」しに来ている。「幼い頃に主人公と縁が繋がっており」「両親世代も実は知り合いだった」というネタバレ設定がある。他方、朱璃は、「ある夜主人公と背中を合わせた」「亡国の姫」で、「主人公宅を一時の宿とし」ている。「数年前に、あるいはそのずっと前から、主人公と縁があり」「数千年前の先祖の時代から関係がある」というのが裏設定だった。

 

ここがまず、『ユースティア』ではなく『けよりな』と比較してみたい1つ目の理由だ。アダルトゲームやビジュアルノベルには様々な作り方があるものの、基本的にセンターヒロインの属性をどうするか、というのは、特にシナリオものにおいては最大の検討事項である。これは疑いようがない。それを踏まえると、『千桃』は意図的にか無意識のうちにか(エロゲ制作の現場の一端を知る者としては、意図的だと思われる)、『けよりな』と属性をかなり被せてきた。性格も、芯が通っていて、どこか熱いものを秘めているという共通点がある。尤も、こちらはどちらかというと「姫属性」のイメージから引っ張ってこられた可能性も高いが。

 

もう一点、世界(舞台)の構造(配置)という点に触れる前に、こちらも共通項を整理しておきたい。『けよりな』の物語は、「いつ頃できたか分からない、実は壊れている謎のオブジェクトがある」街にて、「ヒロインの一部が同じ学園へ通いながら」「センターヒロインが主人公の自宅に泊まり込んでいる」状態で展開される。『千桃』では、「いつ頃できたかは定かではないが最近壊れた謎のオブジェクトがある」街にて、「ヒロインの一部が同じ学園へ通いながら」「センターヒロインが主人公の自宅に泊まり込んでいる」状態で物語が進行する。3点目については上で確認したとおりだ。重要なのは「謎のオブジェクト」と「学園要素」である。従来、『千桃』と『ユースティア』を比較した文章では、こうした要素があまり丁寧に抑えられてこなかった。もちろん、『ユースティア』にも印象的な場所はたくさんあるが、『けよりな』の移動装置や、『千桃』の結界跡ほど、物語の冒頭からプレイヤーの視線を誘導してくるようなオブジェクトはない。学園要素にしても、『ユースティア』はファンタジー純度が高く、といったような視点でしか語られてこなかった。ここで、『けよりな』を比較対象として導入することで、オーガストのねらいがやや見えてはこないだろうか。

 

さて、比較ということで、そろそろ差異の方にも着目してみよう。順は前後するが、まず「舞台となる街の構造」から検討したい。

 

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図1 『けよりな』の大雑把な舞台構造

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図2 『千桃』の大雑把な舞台構造

 

ひとまず、大雑把に示した図で恐縮だが(筆者の画像制作能力が低い)、このように整理できるだろう。もちろん、細かい場所――『けよりな』の河原や『千桃』の旧武人居住区など――は省略してある。こうして見ると、主な施設はおおよそ似通っている(これは、もしかすると、ほとんどのファンタジーで同じかもしれない)。ここで言う「宗教施設」とは、『けよりな』では月人居住区にある月の教団の礼拝堂、『千桃』では神社のことを指す。一方、「政治/他国関係の施設」は、『けよりな』だと月の大使館、『千桃』では帝宮と共和国総督府などである。但し、『けよりな』も『千桃』も外交(=国際政治)が重要なので「政治/他国関係の施設」とまとめているが、実際には『けよりな』には月の博物館など文化施設が含まれているのに対し、『千桃』ではそうした舞台は皆無である。この点は留意しておきたい。

 

さて、これを踏まえた上で、「ヒロインの配置」について考えてみよう。

 

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図3 『けよりな』の大雑把なヒロイン配置

 

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図4 『千桃』の大雑把なヒロイン配置

 

ひとまず図の簡便のために、センターヒロイン以外のヒロインについて整理した(なお、『けよりな』からはエステル以外の追加ヒロインを割愛した; 割愛されたヒロインは『千桃』と比較しにくい、という意味だが、なぜそうしたヒロインが『千桃』にいないかは一考の余地がある)。

 

こうして見ると、意外にも次の点が見えてくる。まず、『けよりな』と『千桃』では、一見すると『けよりな』の方が学園要素が濃いように思われるが、どのくらいのヒロインが学園に関わっているか、という指標で見ると、『千桃』の方が通っているヒロインが多い(なお、学園について、『けよりな』の翠を足せば同じになる、という指摘には、『千桃』の紫乃の存在を以て反論しておきたい)。これは、『千桃』の学園要素は、世間で思われているほど薄くない、という事実を示唆しているか、あるいは、世間で思われているほど、『けよりな』に学園の要素はない、という逆の可能性を示している。個人的には両方正しい気がする。実際、『けよりな』は思い返してみると学園要素らしい学園要素が少ない。そうした要素は、物語の大半を学園で展開する『羊飼い』や『FORTUNE ARTERIAL』では卓越しているので、おそらく『けよりな』の学園成分は薄い。一方で、『けよりな』で行われた程度の学園イベントであれば、『千桃』でも行われている。海へ行ったり、昼ご飯をつつきながら世間話をしたり……。『けよりな』と『千桃』の間のこの印象の差は、単純にパッケージングの方向性の違いでしかないのではないか。

 

話はヒロイン配置に戻る。では、『けよりな』はどこに集中しているかというと、主人公の自宅にヒロインが溜まっている。これも、例えば古杜音も宗仁の自宅には来るが、決定的に重要な役割を担っているわけではないため図からは割愛している。『千桃』で主人公の自宅に執着を見せたと言えるのは、「いるべきはず」の妹・奏海と、幼馴染で宗仁の看病をしてきた滸までだろう。

 

この辺り、『けよりな』主人公の自宅への集中度に影響を与えているのは、実はミアであると分かる。ミアのような存在が『千桃』では表出しにくかった理由としては、フィーナと朱璃の立ち位置の差が挙げられるだろう。『けよりな』は、少なくとも月と地球の関係の小康状態、言うなれば平和なムードが前提の作品だ。しかも、フィーナにとって地球は本質的にアウェーな土地である。この設定を鑑みると、フィーナの世話をする役がどうしても必要になる。一方、『千桃』は異国との関係が最悪の状態で話が進み、しかも姫たる朱璃はお尋ね者だ。ミアのような、若干抜けたところがあり、戦闘能力など微塵もなさそうな従者をノコノコ連れて歩けるわけがない。

 

ここまで書けばお分かりのとおり、『千桃』でミアの「従者」としての役割がどこへ行ったかというと、実は主人公の宗仁に移動しているのである。従者を連れているべき存在の人間に初めて気付いた男として、宗仁は立ち位置を固めていく。ここに、『けよりな』と『千桃』のシナリオの根本的な違いがあるだろう。

 

フィーナと朱璃の立ち位置の差は、たとえば、先ほど述べた文化施設の有無にも関わってくる。流石に融和ムードが見えにくい中でさやかのようなキャラを登場させ、博物館で仕事云々というエピソードは展開させにくい。ただ、さやかの話やフィーナとの物語、あるいはエステルルートで語られたような、異文化で育った人間との摩擦は、『千桃』でも重要な逸話として挿入されている。学園の食堂での一コマが典型であるし、もっと言えば、奏海ルートやエルザルートで中心的な話題を占める「共和制」導入のエピソードも文化の摩擦の例と言えるかもしれない――統治制度はしばしば、文化的な伝統と融和し、衝突する。

 

異邦の存在との衝突は、『けよりな』の、特にエステルのシナリオでは重要な位置を占めていた。面白いのは、知識階層たる宗教者の役割が、『けよりな』と『千桃』では大きく異なっている点だ。『けよりな』のエステルは、自己のアイデンティティの揺らぎを自覚しながら、歴史から宗教に至るまでを修めた月の英才として、地球側との「史観」の対立や複数の共同体の融和といった非常に難しい課題に取り組んだ。一方の古杜音は、同じ知識人ではあるものの、知識の幅が呪術という「技術」に偏っており、全く異なった働きを、本編中でこなすことになった。もちろん、宗教と歴史の絡まりの中で、彼女が古い時代の逸話を幾つも引っ張ってくるのは印象的だが。

 

また、古杜音はエステルと異なり、最初から主人公と同じ文化集団に属していた。この事実が、エステルと古杜音の行動範囲の差に表出している。まとめてみると、古杜音は主人公と同質な集団に属していたため、彼女が宗教者として文化の軋轢を体現するためには、別に御膳立てが必要だった。そしてその「装置」が、たとえば古い時代の胡の国の呪術である、というわけだ。あるいは、古杜音の歴史に関する知識を作品中強調させなかったのは、この辺りにも原因があるかもしれない。

 

宗教者の立ち位置は、このようなファンタジー作品では考察してみると面白いポイントだ。『ユースティア』と比較する際にも、ここに気を付けてみると、違った見方が出てくるだろう。

 

この節の最後に、センターヒロインの差について見てみたい。

 

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図5 『けよりな』センターヒロインとシナリオの結末

 

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図6 『千桃』センターヒロインとシナリオの結末

 

やはり同じ図を用いて整理してみよう。センターヒロインらしく、フィーナも朱璃も非常に行動範囲が広い。物語冒頭での立場の差や政治への関わり方に表面上の違いはあるが、枠組みそのものに大きな変化はない。朱璃は、オーガストではフィーナ以来の正統派プリンセスだったと言えるだろう。他方、物語の結末付近での動きについては、対称性が出ている。物語の必然的な帰結として、フィーナは異邦の存在であり、一度自分のホームに主人公を連れていかねばならない。それが、オブジェを使って別の空間へ「行く」という能動的な行為に繋がっている。一方の朱璃は元々舞台である天京の主であり、この地を離れるというのはよほどの事情がない限りできない(たとえば、結界で守られた山奥への「撤退」など)。また後段で述べるように、『千桃』で扱われた宗教における世界の捉え方は超自然的(超人間的)なものに対する畏れを抱えており、比較的受け身になりやすい世界設定になっている。

 

その結果、『千桃』のオブジェの働きは『けよりな』と同じゲートでありながら、こちらは別の空間から神や穢れが「来る」ための装置へと変貌し、朱璃からすれば受け身、動作の対象となるべき現象のためのギミックとなった。この辺り、枠組みは同じでも、パッケージングの差が出たポイントだと言えよう。

 

『千桃』のオブジェは、主人公が扱うわけでもない。主人公が異世界へ行くのは、また別の事情による。もちろん広く見れば、主人公は黒主大神の下へ行くのであり、黒主大神はオブジェを使って現れた(呼び寄せられた)のだから、オブジェを「使って」はいるのだが、主人公が能動的にオブジェの使用法を考案したわけではない。その上、主人公が帰還できた理由に至っては、オブジェが一切関係ない。この辺りの「奇跡」については、ご都合主義との見解もよく見られる。確かに、朱璃や主人公の主体性はここで若干否定されている。フィーナと明確に異なる点だと言えるだろう。ただし、この点についても、個人的には物語の必然的な流れであるように思われる。少なくとも伏線は巧妙に引かれていた。これについては後述する。

 

やや長くなったが、『けよりな』と『千桃』の比較では、次のことが指摘できる。まず、『けよりな』と『千桃』は、物語あるいは設定の大きなフレームワークのレベルでは、ほとんど同じ構造をしている。その一方で、『千桃』は一面的には、『けよりな』以上に学園ものとしての性質が濃く出ていること、文化摩擦のような共通するテーマでも描かれ方や舞台装置の使い方が異なること、などの事実も見えてきた。

 

『千桃』は、『けよりな』以来の、あるいはそれ以前からの、「ライト層にも訴求可能な学園要素のあるファンタジー」というオーガストお家芸の派生形である。『けよりな』と『千桃』の差は、題材としたものの違いであり、再三述べているように、パッケージングの差そのものでしかない。その意味で、『千桃』は『ユースティア』よりも『けよりな』に接近した作品だったのではないだろうか。

 


 

けよりな』と『千桃』の差は、題材の違いであり、パッケージングの方法の違いである。となると、結局『千桃』を語る時には、この作品の持つ「歴史ファンタジー」という側面を通過せねばならない。『千桃』が題材に採った「歴史」とは何で、オーガストの着想はどこにあったのか。それについてもう少し考えてみたい。

 

結論から先に述べれば、この作品の発想の源は「過去の接続」である。時間的に隔たった2つの過去を、1つの物語(storyの語源としてのhistoria; 歴史)としてまとめている。題材にしているのは、これも他のレビューであまり言及されていないので明言しておくと、「米国単独占領期の日本」と「邪馬台国(及び弥生時代)」である。

 

米国単独占領期、というのは、要するに太平洋戦争直後の日本のことだ。この辺りは「共和国」という言葉の使い方などにその跡が見えよう。もちろん、こういう場合現実とフィクションの境ははっきり付けておくべきで、戦前の日本に民主政はなかったとか、米国は侵略者だったとか、そういうことを主張したいのではない。この記事に、現実の世界の政治に関する主張は盛り込まれていないと断っておく。

 

もう一方が分かりにくい。邪馬台国は要は、二千年前の皇国として描かれている。この辺り、スタッフは相当腐心して文献を当たったようだ。「皇国の誕生は日食によるところが大きく、初代女帝の勢力の陰りも日食と絡んでいる」という設定に、その努力の跡が見える。これは、「邪馬台国の興亡には日食が関係している」というあまり知られていない説から掘り起こしたものだろう。胡の国の設定なども、古代史に関する文献を相当読み込んで作られたはずだ(余談だが、ひょっとすると「緋の国」という名称も、「火の国」あるいは「肥の国」から持ってきたのかもしれない)。

 

時間にして千五百年は隔たるこの2つの過去を、物語としてくっつけてしまおう、というのが、『千桃』のシナリオのスタートだろう。簡単にまとめているが、これはべらぼうにスケールの大きな計画だ。エロゲに限らず、ゲームにせよ、小説にせよ、映画にせよ、この発想から完成に持ち込むためには凄まじい努力が必要である。

 

オーガストスタッフは、この発想に、和風ファンタジーステレオタイプ(と表現するとアレだが)を一部活用しつつ、なんとか道筋を付けようとした。日本神話を活用した舞台と呪術の設定がそれだ。根の国という単語は日本神話からそのまま持ってきたものだし、三種の神器の活用の仕方も上手かった。

 

何より、呪術という超自然的(にして、ある意味では自然的)な要素の組み込み方が巧みだ。前述のご都合主義ハッピーエンドが成立したのも、呪術の設定がよく練られてあったからだ。宗教とは、超人間的なもの含めての世界の理解の仕方だ、というところをきちんと押さえた上で、呪術の仕組みや自然に対する人間の姿勢を設計したのだろう。前者は、デウスエクスマキナどころか本物のデウスを持ち出して、この物語の世界を組み立てた、と言い換えてもよい。後者については、「人間は、人間の矩を超えるところについては、祈るよりない」という姿勢が終始明確だと評せよう。ファンタジー世界の内部において論理が一貫している。これが、上述の「ご都合主義とはいえ物語の必然的な流れの中にある」という見解の詳細だ(なお、この「主人公が原初の奇跡によって舞い戻る」という結末のための伏線は、根の国の存在がプレイヤーに提示されてから撒かれている。興味を持った人は確認してみて欲しい)。

 

オーガストの発想の源、つまり、実際の日本の過去とこの物語のシナリオの繋がりを確認し、さらに、その発想からファンタジーを成立させるための努力についても、ここまで辿ってきた。だが、「歴史ファンタジー」は、それだけでは語り尽くせない。結局、最後に「歴史」であることが問われる。換言すると、「誰が」「誰のために」過去を再編成したのか、というところについて、考えなければならない。

 

もちろん、エンタメと割り切って、一部のスペースオペラのような群像劇に仕立て上げるのも悪くない。ただし『千桃』については、ここを整理しておくことで、エロゲの面白さが見えてくる可能性がある。そこについて最後に触れて、この稿を閉じたい。

 

まず確認するが、今から筆者と読者の皆さんが考える「歴史」とは、皇国の歴史のことだ。現実の日本のことではない。それを踏まえた上で、まず、「誰が」皇国の歴史たる『千桃』本編を紡いだのか、というところを考える。「そんなのシナリオライターに決まってるじゃないか」……正解のようで間違いで、そして結局正解だ。「正解のようで」とは、「ぶっちゃけちゃえばそう」ということだ。この言い方から、「それが聞きたいわけじゃない」という意味での「間違い」のニュアンスも掴んでいただけると思う。ただし実際には、この意見はメタ的な視点を盛り込んでいると解釈できるので、その意味では正しい方向に向かっている。だから「結局正解」なのである。

 

メタ的な視点を駆使するのであれば、シナリオライター以上の解答などあるわけがない。そうと言えばそうなのだが、ここで、『千桃』のある演出を思い出してみたい。『千桃』では、冒頭から最後まで、背景か黒画面かに文字だけが浮かぶ演出が、何ヶ所か確認される。これは一体、誰による言葉なのか。歴史小説などで言われるところの「地の文」であれば、これは筆者であり、皇国の歴史を編んだのはシナリオライターである。すなわちこれは、メタ存在であるシナリオライターから、メタ存在であるプレイヤーへのメッセージだ。一方、これが一人称エロゲの業界用語である<地の文>であれば、例の言葉たちも全て主人公の独白と考えてよい。すなわち、主人公の言葉だ。

 

そしてややこしいことに、第3の可能性がある。『千桃』の物語を書いたのは、『千桃』の世界の歴史家である、という設定を創作することが、制作側には可能だ。この場合、シナリオライターという存在と『千桃』の物語の間にワンクッション置かれることになる。プレイヤーからすれば、シナリオライターが書いたフィクションではなく、『千桃』の世界の人が書いた『千桃』の世界の歴史を、あたかもビデオ再生したかのような形になる。そんな歴史家の存在なんてどこにも書かれていないではないか、という主張もよく分かるが、こういった可能性はないだろうか。この『千桃』の物語は、物語が完結した後の『千桃』の世界で、主人公が回想しているのだ、という可能性は。これは、2つ目のパターンと3つ目のパターンの合わせ技だ。

 

このように、「歴史ファンタジー」はメタ存在であるプレイヤー(あるいは読者)と書き手の関係がどんどん複雑になっていくきらいがあり、「誰が」というところが微妙に分かりにくい。今後も検討する価値はあるだろう。ここでは、いずれにしてもシナリオライターという媒介項(メディア)が見た『千桃』の世界の過去である、というところを尊重して、一応シナリオライターという答えにしておく。

 

では、そのシナリオライターは、「誰のための歴史」を編んだのか。もちろん、これも可能性の1つはプレイヤーである……が、この問いに対してはひょっとすると、「プレイヤー」という答案は「間違い」の部分が大きいかもしれない。というのも、「プレイヤーのため」なのは皇国の歴史ではなくゲーム本体の方だからだ。それ以前に、そもそも、プレイヤーに楽しんでもらうために、朱璃以外の、特に滸のルートを極端に短くしたのだろうか。もちろん、商業作品であるが故の限界(制作期間、予算などなど)も大いに影響しただろう。だが、それでも『けよりな』式のシナリオ構造にする手もあったはずだ。果たして本当に、「プレイヤーのための皇国の歴史」だっただろうか。

 

ここで、「可能性」という言葉について少しだけ触れておく。「可能性」とは、一つの定義に則ると、「ある物事が為った後、事後的に『この時こうしていればああなっていたかもしれない』と振り返って初めて分かる、当時あった選択肢」と表現できる。これに対し、「今後どうなるか本当に分からない、私たちの前に広がる無数の『これから』」を偶有性と表現する。アダルトゲームは、無論、「偶有性」ではなく計算「可能性」の中にあるエンターテインメントだ。すなわち、「この選択肢分岐の先どうなるか分からない」と言っても、結局は「可能性」の範疇に収まっている。すなわち、私たちプレイヤーは、「何かが為った後=ゲームの終わりが決定されている状態で、事後的に振り返って得られる選択肢」に一喜一憂しているに過ぎない。

 

普段私たちは、プレイしている時、その事実について自覚的ではない。だが、「歴史ファンタジー」の時はどうだろうか。歴史とは、本質的に後から振り返って編纂されるものだ。「可能性」の定義も過去について述べている点を鑑みると、過去を編纂して生まれる「歴史」は、本質的に、私たちに「可能性」を意識させる役割を(自然と)持ってしまうのかもしれない。これを、「可能性」を消費するアダルトゲームの世界に持ち込むと、ある1つの結末以外は「あったかもしれない『可能性』」なのではないか、という意識が強くなる。そして、この自覚によって却って、センターヒロインのルートの重要性が増す。センターヒロインの「トゥルー」=「真実の」エンドこそが、「歴史」を辿った末に辿り着くたった1つの「過去の事実」なのだから。

 

これを素直にシナリオ構造に取り込むと、「トゥルー一本木」になるのではないか。そう、『千桃』は本質的に「歴史」だ。だから、あったかもしれない「可能性」についてはさほど言及せず、本筋の編纂された過去を綿密に描き込んでよい。

 

この構成にすると、プレイヤーの感想はおおよそこうなるだろう。「ああ、この作品は、朱璃と宗仁のための『物語』=『歴史』だったな」、と。その感慨は、あらゆる意味で正しい。朱璃と宗仁の2人が中心となって展開されたゲームのシナリオであるというのが1つ。いま1つには、この「物語」の始まりが2人の出会いで帰結が朱璃と宗仁の結婚である点を鑑みて、これは皇国の「歴史」であると同時に、宗仁と朱璃の個人的な「歴史」だったのだ、と捉えることができる、というのもある。この、シナリオライターか、宗仁その人か、はたまた全く別の人が届けてきた「歴史」は、朱璃と宗仁のためのもので、私たちプレイヤーは、それを受け止めているに過ぎないのかもしれない。

 


 

『千桃』は、オーガスト伝統の「学園要素を混ぜた、ライトユーザーにも開かれたファンタジー」であり、その型は『けよりな』と比較すると共通点が多い。『けよりな』との違いは味付けの違いであり、その意味で「歴史」という言葉が重要になった。そして、「歴史」を題材にしたが故に、『千桃』は、アダルトゲームの本質的な構造を露呈させながら、演出やシナリオ構造を独特のものへと発達させていった。「歴史」を題材にする上で必要な発想や下調べも申し分ない。果たしてこれで、どうして「『千桃』はライト層にすり寄った結果純度が下がったファンタジーである」と言えようか。むしろ、「ライト層に訴求できるような『オーガストらしさ』を残すため徹底的に設計が練られた超大作ファンタジー」である。願わくば、FDも素晴らしい出来栄えであらんことを。

 

 

(了)

 

ナナシスでライブ素人童貞から脱却した話 【ナナシス5thアニバーサリーライブ感想】

去る2019年7月13日、「Tokyo 7th シスターズ」の「4th Anniversary Live -SEASON OF LOVE-」に一般参加してきた。

 

一般参加――ライブ界隈では聞きなれない表現だろう。まさか私も、この言葉をライブカルチャーで使うハメになるとは思っていなかった。要するに、ライブに客としてお邪魔した、という意味である。

 

こう書けば、タイトルの「素人童貞」の意味も、自ずと分かっていただけると思う。今まで私は、ライブなんて運営側でしか関わったことがなく、客としてライブに行ったことが無かったのだ。なるほど確かに、ライブに行ったことがあるかと聞かれれば、答えは「YES」である。しかし、如何せん立場が特殊過ぎる。まさしくナナシスのライブは、真の意味で私の「初めての相手」だったと言えるだろう。

 


 

今回ナナシスのライブに参加することになったのは、知人が連番のチケットを余らせていたからだった。その知人といえば、ナナシスこそ私が紹介したが、アニソン系のライブカルチャーに関しては基本的に滅法強く、色んな意味で初参戦になる私にとって、相方として申し分なかった。

 

しかし、ライブというものは、どういう風に参加すべきものなのだろう。私にとっては、まずそこから疑問だった。そりゃそうだろう。今までライブやイベントに参加する時には、「忘れちゃいけないのは1にスタッフ通行証。2はスタッフ通行証で、3はスタッフ資料」なんて言っていた人間である。このまま一般参加しては、一般客の入り口がどっちか、文字どおり右も左も分からない事態に陥りかねない。

 

とりあえず、ナナシスが最近リリースした曲を中心に、ライブでかかりそうな曲を「予習」してみる。しかし、この「予習」という概念もいまいちよく掴めない。普通の人は、どこまでパーカッションやベースの音を聴き込んでいるのか? それをどれくらい、あのペンライトの振りに取り入れているのか? 分からないなりに、ひたすらヘビロテする毎日だった。

 

相方たる知人に相談すると、彼は一笑した。

 

「ライブなんて、最悪チケットと体調整えるための何かがあれば大丈夫ですよ」

 

彼のこの言葉だけは信用ならなかった。こちらはライブ初参加、あちらは2週に1回はライブやLVに参加する剛の者。差は歴然としている。しかし、相方と行動予定は合わせなければならない。不安に駆られながら、当日までほとんど用意らしい用意をしなかった。

 

当日、結局ペンライトすらろくに用意していなかった私は、相方に断りを入れ、合流する前に物販へ向かった。最初はペンライトだけを買うつもりだったが、手元を確認すると、現金は諭吉しか持ち合わせていない。これは面倒だろうなあ、と直感した。面倒というのは、物販のレジ係が、お釣りを用意するのが大変、という意味だ。ペンライトの値段は3,500円。一万円札を出せば、お釣りは6,500円だ。紙幣が2枚に、硬貨が1枚。ライブ運営の経験から言って、これはレジに優しくない買い物である。

 

こんなところで無駄に「ライブ慣れ」を見せつけてもなあ、などと自嘲しながら、結局、ペンライトにパンフレットとタオルを併せて購入した。合計金額は9,000円。これならお釣りは紙幣1枚で済む。

 

……と、いいことをした、なんて気分でレジへ向かうまではよかった。いざ会計に至ると、そこにはクレカ決済用の端末が設置されているではないか。そもそも現金で支払うこと自体「イケてない」という現実を見せつけられたのだった。挙句、注文票の記入箇所を間違えており、レジ係を無駄に混乱させる始末。なんともしまらない出だしになってしまった。やっぱり自分からリードしたことのない素人童貞はダメ、という話である。

 

しまらない、といえば、何もかもしまらない感じだった。海浜幕張駅で相方と合流するタイミングで、数滴の水が天から降ってきた。とはいえ、気持ちいいくらいに雨がザーザー降ってくるわけでもない。梅雨の終わりの、あの「落ちてきそう」な空模様だ。「落ちてきそう」という表現には、実際には落ちてきてくれない恨めしさが入っているのではないか。いつだったか、私はそう考えたことがあった。

 

天気は曇り、季節は夏の一歩手前で足踏みしている。加えて、私の体調も優れていなかった。数週間前に引いた風邪は完治していたが、数日前、ひょんな怪我から化膿した右手の親指は、まさに痛みのピークを迎えていた。梅雨どきは、菌が繁殖しやすい。そういう恨みつらみも含めて、なかなかすっきりしない空を見上げながら、私は相方と共に、幕張メッセの人混みへと吸い込まれていった。

 


 

会場に入って、まず声を上げたのは相方の方だった。

 

「むっちゃいい席ですよ。ステージも画面も全部見渡せますね」

 

当選していた席は、比較的前めで、ブロックの隅っこに当たる場所にあった。確かに、メインステージも、中央の舞台も、スクリーンも、全て視野に収まる。初めてにしてはよい席に恵まれたなあ、などと思っていると、隣の相方がもう一度口を開いた。

 

「列と列の間隔が広いですね。珍しいです」

 

彼が言うには、座席の列と列の間が広く、足元にゆとりがあるという。私は、関わったライブがオルスタだったので、席のことはよく知らなかった。席にゆとりがある、ということは、人数を詰めていない、ということだ。主催側の懐事情を考えれば、ライブに来てくれる客は多ければ多いほどいいので、これは確かに珍しい。しばらく相方と議論したが、なかなか結論は出なかった。言えるのは、少なくともこれは、チケットが売れなかったから慌てて座席の数を減らしたような列の組み方ではないこと、それから、ライブカルチャーが所謂サブカルに根付いて結構な時間が経ち、ユーザーエクスペリエンスの向上や、新しい形のライブを模索する時期に入ったのではないか、ということ、その2点だ。

 

新しい形のライブ、という話題になったところで、噂のランティス祭についても多少話し合った。色々言われた企画だが、個人的には、成功失敗は抜きにして、チャレンジとしては面白かったのでは、と思っていた。相方は笑って、

 

「僕、あれは実質最前だったので、いい思い出しかないんですよね」

 

ライブの体験には、時の運が絡む。そのことを頭で理解したのだった。

 

そうこうしているうちに、ナナシスライブ御馴染みの総支配人による謎セトリBGMも静まり、いよいよ開演の時が近づいた(余談だが、なぜかマイケル・ジャクソンの「Black or White」が流れていたことだけ、やたら頭に残っている)。照明が落ち、まず聞こえてきたのは、メモルによるライブ中の注意だった。私としては、この段階からまず面食らった。ライブの始まりをどうするかはいつだって悩みのタネなので、とりあえず何も想定しないで入場したところ、想像以上に思ってもない人の声が聞こえてきた、という次第である。

 

その後、777☆SISTERSの紹介ムービーが流れる。相方が隣で、「これはいいですね」と呟いた。お生憎様、私はその時、どういう態度でいればいいのか分からず、半分呆然としていた。ペンライトは箱から出してあったが、さりとて何色でどういう風に振ればいいのかさっぱり把握できず、完全に置物状態。隣を見れば、相方はちゃっかり、用意してきていた汎用ペンライトを掲げていた。言わんこっちゃない、何が「ライブはチケットとプラスアルファだけでいい」だ。改めて自分の手元を見る。ハートをあしらったライブ専売のペンライトが、周りの光だけを反射して、僅かに明るくなっていた。

 

そういうわけだったので、1曲目の「FUNBARE☆RUNNER」が始まった頃は完全に棒立ちだった。かろうじて、地蔵を取り繕うことには成功していたかもしれない。幸運だったのは、この辺りで銀テープ発射の爆音が入り、浮遊していた意識が現実へと引き戻されたことだった。ふと周りを見渡せば、皆想像していたより思い思いにペンライトを振っている。身体の動かし方も人それぞれで、これならなんとかやっていけそうかな、という気にはなった。しかし、あと一押し決め手が足りなかったのも事実で、私は、今度こそちゃんとした地蔵として、今しばらく周りの雑音に呑まれる身であることを選んだ。

 

そんな私の後押しをしてくれたのは、やはりと言うべきか、ステージの上でスポットライトを浴びる演者たちだった。いや、正確に言うと、ステージの上にはいなかったのだが。地蔵を決め込んでいた私は、トロッコに乗り移る彼女たちを見上げながら、トロッコは人力なんだ……などと意味の分からないことに気を取られていた。そのままぼーっと上を向いていたところ、その一瞬は唐突に訪れたのだった。

 

だ - み な と 視 線 が あ っ た ! ?

 

え? と思ったのは一瞬だった。そう、ぼーっとしていたため気が付かなかったが、私がいた席は、ちょうどトロッコ動線に対して最前列で、演者から相当近い場所だったのだ。なんという神席であろうか。件の「時の運」というのはこんなところで表に出てくるのか。身体が打ち震えるほどの衝撃だった。

 

混乱しきった私の頭は、ついに思考をやめ、身体は衝動のままペンライトを掴み取った。膿んだ右手の親指に鋭い痛みが1回走り、すぐに静まる。代わりに、ふっとハートの輪郭が露わになって、その内側からピンクの光を漏らしだした。おもちゃでよくある、魔法少女のステッキのようにも見えた。それでもいいと思った。私は光るペンライトを宙にかざして、ようやく、だーみなと視線が交差したという事実を呑み込んだ。ペンライトに灯ったちゃちでちっぽけな光でも、それこそが、だーみなが振り撒き、私が呼応した愛の形のようにも思えて、私はひと時ばかり、無邪気な愛の天使、幼き魔法少女であることを選んだのだった。

 

そこから先はフルスロットルだったと思う。だーみながカジカの自己紹介の時に手でハートを作っていたのは印象的だったが、逆に言うとまともに覚えているのはそこくらいで、とにかく興奮していた。777☆SISTERSがI'll be backなんて言いながら(言ってない)退場し、代わってCi+LUSが登場すると、私のテンションは一段と高まった。この辺りから、ああ、ライブとは言うけれど、普段音楽を聴いている時のように身体を動かしていればいいんだな、と、ようやく頭も理解し始めた。語弊のないように付け加えておくと、私は普段からライブの時並みに身体を動かしながら音楽を堪能しているわけではない。多分そうじゃないと思う。どうだろう……ひょっとしたら動かしてるかもしれないが、要は、いつもどおりでいいんだ、と理解したというのが大切だった。そういうことだ。

 

因みに神席だったので山崎エリイさんからも視線をもらった。それだけでチケ代物販費込み20,000円の価値はあったかと。ライブ初心者なので、許してね?

 


 

Ci+LUSの2人による次の演者の呼び込みは、一瞬どのグループのことを指しているのか分からなかった。Ci+LUSは、「今日新しいスタートを切る先輩ユニット」と表現していた。周りは皆分かっていたようで、声を揃えてLe☆S☆Caと叫んでいた。なるほどLe☆S☆Caか。私は納得しながら、少しばかり不安な気持ちを抱え込んだ。

 

新しいスタート云々というのは、Le☆S☆Caの3人のうち、2人の声優が交代になったことを指す。折しも、某バーチャルYouTuberの中の人交代劇がよくも悪くも話題を集めており、キャラと声優の関係について考えこんでいたので、私の脳裏に不安がよぎったのだった。Le☆S☆Caは、私がナナシスのゲームを始めた頃にデビューした思い入れあるユニットで、私の単推しもLe☆S☆Caだった。幸か不幸か、私が一番応援していたキャラは1/3の確率を引いて(?)声優の交代を免れていたが、それだけに余計、私自身がLe☆S☆Caとどう向き合えばいいのか分からなかった。

 

私は呼び込みの残響が残るうちにペンライトを黄色に変えると、その時の到来に対して身構えた。流れてきたのは「YELLOW」の特徴的なイントロだった。隣の相方が、「衣装にひまわりついてますよ!」と興奮しながら話しかけてきた。私は、「『ひまわりのストーリー』はやるんだろうなあ」くらいに思いながら、ステージ上の3人を眺めていた。

 

3人が緊張しているのは明らかだった。明らかに声のピッチが上ずっている。しかも3人とも。誰かが上ずっているのを他の人がフォローしにいったのだろうか、と感じられるほどだった。ピッチ自体は次の曲には正常に戻っていたが、それにしてもバランスが悪い。そもそもホノカ役の植田ひかるは女声の低音域で特に声量が小さいので、新たにレナ役になった飯塚麻結の大きな声がやたら響く。

 

それでも、私はいつの間にか泣いていた。

 

MCに入り、自己紹介が始まる。Le☆S☆Caのセオリーどおり、キョーコとレナが先に紹介を済ませる。トリはホノカだ。私は振り続けていたペンライトを下げて、胸の前で抱え込んだ。ホノカにカメラが向く。彼女は僅かに涙を滲ませながら、ホノカとして自己紹介をこなした。私はまた泣いた。

 

終演後のことだが、海浜幕張駅へ向かう大行列の途中で、見知らぬ女性2人組の、「あそこでホノカ役の人が泣いちゃうのはね」という評を耳にした。同性の意見は手厳しいな――私は、苦笑せざるを得なかった。実のところ、多分、その2人組の意見は間違っていない。というより、正しい。あの場でホノカとして、Le☆S☆Caの全てを知るただ1人の存在としての「正解」は、泣かないことだっただろう。

 

それでも、私はホノカを、植田ひかるを責める気にはなれなかった。思うに、正しい人間が正しくない人間と衝突を起こした時や、正しくあろうとした人間が正しさを貫けなかった時に、物語は生まれてくるのではないか。物語は、私たちが能動的に生むものではなく、そういう時に自然と生まれてくるもので、私たちはそれを受け止めるに過ぎないのではないか。ライブ後のまとまらない思考の中、ぼんやりとそんなことを考えた。

 

Le☆S☆Caの3人が正しくあろうとしたことは、その後の彼女たちのパフォーマンスが示している。MCでキョーコが「とにかく、私が・・上杉・ウエバス・キョーコ」と言い放ったのが印象的だ。

 

Le☆S☆Caは、最後の曲の前にもMCを入れた。私は、中央に立つ彼女たちを直視できず、下げたペンライトばかり見ていた。暗い足元に、微かな黄色の光が、ハートの器から漏れていた。愛によって灯されたこの光を、Le☆S☆Caにどう示せばいいか、まだ分からなかった。これからのLe☆S☆Caを応援する、なんて態度は、とてもではないが取れなかった。それでも、最後の曲が「ミツバチ」だと分かると、私はもう一度、ペンライトを天に掲げた。曰く、ミツバチは「あなたの息遣い」を運んできて、「大切なあなたに届」ける「便り」にもなってくれるという。私は、多分、Le☆S☆Caを応援できるくらい、どっしり構えられる人間ではない。それでも、小さなミツバチくらいにはなれるかもしれない。ひっそりと、そう思った。愛の形というにはあまりにしょうもない、と笑いたいなら、笑ってくれればいいと思う。私の愛は、少なくともその時は、ペンライトに宿っていた。

 

壇上の3人は、果たして何匹のミツバチを見かけたのだろうか。それは分からない。観客の視点から分かるのは、ただ1つ。3人は、当代最高のアニソン作曲家である、UNISON SQUARE GARDEN田淵智也が作った難曲を、確かに歌いきった。相変わらず音量の均衡は取れていないし、たまにピッチは上ずっていたが、彼女たちが正しくあろうとしたことは間違いないだろう。

 


 

Le☆S☆Caの退場とその次のグループの入場時は、Le☆S☆Caではなく、次のグループがMCを担当した。Le☆S☆Caは明らかに緊張していたから、その方がよかったと思う。振り返ってみれば、開幕後の一番場が温まった状態で、さらにCi+LUSという爆弾を場に投げ込んだのも、Le☆S☆Caがどうなるか読めなかったからかもしれない。いずれにせよ、全ての選択はよい方向に働いていた。

 

会場全体がなんとなくしんみりとしていたものの、次のWITCH NUMBER 4のパフォーマンスはその空気を一変させるくらいのパワーを持っていたので、本当にこの順番でよかったと思う。「星屑☆シーカー」の直前、トロッコへ移動しながらだーみなが、「トロッコに乗ってみんなのところへ……行くよっ」とMCをした。もちろん、「行くよっ」は曲の出だしに合わせたものだ。完璧なタイミングでパーカッションが入り、私はつい飛び上がってしまった。恥ずかしっ、と思いながら周りを見ると、皆ジャンプ後の着地姿勢になっていたので、まあそういうもんだよね、と自分を納得させた。

 

※ライブ中に跳びはねるのは危険なので控えましょう。

 

SiSHの盛り上げ方もよかった。「さよならレイニーレイディ」はまさに今の時期に聴きたい曲だし、その後の「プレシャス・セトラ」もライブ映えする曲で、まさに今日この日のためのセトリだった。

 

その後は、Le☆S☆Caとは別の意味で「今日がスタート」の七花少女の出番。そもそもの持ち曲数がまだ少ない分、MCはたっぷり時間を取っていた。初登場の割にかなり落ち着いていたのが印象的だったので、後で相方に聞いてみると、曰く、メンバーの半分くらいは相当場慣れしているので、本当の意味での新人のフォローに回れたのが大きかったのではないか、ということらしい。いずれにせよ、堂々としていたのは好印象で、これからも見守っていきたい限りである。

 

お次ははる☆じか(ちいさな)の番。この(ちいさな)を抜いてはいけない、というのはライブ中に得た知識の1つである。このはる☆じか(ちいさな)はとにかく衣装が可愛かった。いや、美味しそうだった。正直どちらも同じ感情を表していると思う。ケーキをあしらった衣装は、余すところなく「可愛い」を体現していた。彼女たち2人がフリフリしている姿は、果たして18歳未満にお見せできるか悩むくらい魅力的で、私の中で未だに映像がこびりついている。

 

KARAKURIの声が響いたのは、そんなこんなで可愛い演者たちがまだステージ上に残っている時だった。KARAKURIは、私の中で謎の1つであり続けていた。なんと言っても、双子設定で声優は1人なのに、一体どうやってライブをするのか、というところが不思議でならなかったのだ。

 

その答えは至ってシンプルで、「1人でやる」だった。いや、色々と関心させられて、私はこのライブだけでKARAKURIのファンになった。「Winning Day」を披露しながら1人でメインステージ奥の階段を下りてくる秋奈は、間違いなくこのライブ中誰よりも目立っていた。振り付けとカメラの切り替え方にも工夫があって、ちゃんと2人いるように見えたのもポイントが高い。KARAKURIは、今回のライブでただ1(2)人、単身で会場の耳目を独占したのだ。

 

カッコいいな……なんて月並みな感想でいっぱいになっていたところにぶちこまれたのは、秋奈の……その、なんと言うべきか、極めて独創的なMCだった。あそこまでいくと逆に味があるのでいいと思う、うん。少なくとも、他の人に卸せるものではない逸材であることはよく伝わった。念のためもう一度書いておくが、KARAKURIは今ライブのベストパフォーマンスだった。そのことは間違いない。

 

パフォーマンスの完成度という意味でKARAKURIがベストなら、観客にもたらした驚きという意味であれば、次のNi+CORAがナンバーワンだっただろう。スース役不在の中、代役を務めたのはなんとCi+LUSのマコト。しかもばっちり決まっている。ムスビ役のMCによると、この組み合わせが決定した後のレッスンの段階で、マコトは既にNi+CORAの振り付けを覚えてきていたらしい。凄まじい熱意と言うよりない。一方の私は、再度耳にすることができたマコトの「お兄ちゃん」で発狂しかけていた。

 

次の出番だったサンボンリボンは、唯一アルバム「H-A-J-I-M-A-L-B-U-M-!!」から楽曲を披露した(「Clover×Clover」)。今回のライブは、かなり曲数が詰まっていた割に、「Are You Ready~」以降から大半の楽曲を取っていた点が特徴的だったと言えよう。私個人的には「Re: Longing for summer」の曲も聴きたかったが、それはまた次の機会に。

 

以下は脳天が吹き飛んでいたのであまり覚えていない。4UとThe QUEEN of PURPLEのロック系2グループが連続で来たので、一旦(身体の疲れで)微妙に下がっていた私のテンションは再びハイになってしまったのだった。このあたり、裏声で叫びすぎて、何をしていたのか本当に覚えていない。あ、演者が何かやった、という意味では、長縄まりあが自転車に乗ったのは覚えている。長縄まりあはエアドラムも上手くて、そこにはかなり驚いた。

 

後でセトリを眺めながら相方と振り返って、ようやく自分があの時何を考えていたか、僅かに思い返すことができた。驚いたのは4Uの1曲目で、「TREAT OR TREAT?」だった。それで驚きすぎたのでインパクトは薄いが、2曲目の「Crazy Girl's Beat」も相当に意表を突かれた。私の本命は「Lucky☆Lucky」で、相方の本命は「メロディーフラッグ」だった。まあ、いずれにせよ盛り上がったのは間違いない。

 

じゃあThe QUEEN of PURPLEはどうだったか、というと、これは残念ながらどうやっても思い出せなかった。Hey-Yoと叫んだりなんだりして、楽しかったのは間違いない。ただ、頼みの綱の相方が、

 

「僕はQoPの単独ライブで沼にハマったんでよく覚えてないです」

 

などと言うので、これはもうお手上げである。

 


 

〆はI shall returnな777☆SISTERS。曲自体は概ね予想どおりだった。とはいえ、アンコール前最後の曲だった「ハルカゼ~You were here~」はA席の辺りから崩れ落ちる声が聞こえるくらい、万感の想いが観客の胸に去来した。

 

アンコールは全員で「STAY☆GOLD」。相方は後に、

 

「AXiSのエピソード中ずっと雨が降っていたじゃないですか。それで、最後の最後に晴れる。少なくとも僕にとっては、その演出が印象的でした。そう考えると、AXiSのエピソードが完結した直後のライブのアンコール曲が、水たまりの虹云々言う『STAY☆GOLD』だったのは構成の妙なんじゃないでしょうか」

 

という見解を披露している。私は、運営としては賭けだったかもしれない、と思った。というもの、この時期は梅雨明けしているかどうか微妙だからだ。ナナシスにとって、夏が重要な季節であることは間違いない。「SEASON OF LOVE」がいつを指すかは微妙なところだが、私は、今回のセトリは全体的に夏の始まりを意識しているように思われたので、この「SEASON」は初夏かもしれない、と考えた。そうなると、この時期の開催を選んだ運営としては、梅雨が明けているかどうか賭けるしかない。

 

いや、そうではない、「SEASON OF LOVE」はもう少し含みを持っている、という主張も成立する。パンフレットの冒頭、総支配人が「SEASON OF LOVE」に至るまでの道のりをまとめている。それを深読みするのであれば、「SEASON OF LOVE」は、愛の季節は、季節なんて訳ながら、季節でもなんでもないかもしれない。このライブに至るまでに大きく成長したナナシスがついに見つけた何かが「LOVE」であり、「SEASON OF LOVE」は、そんな直近の、或いはこれからのナナシスのことを指しているのかもしれない。

 

いずれにせよ、初夏を狙ったものであることは、やはりそのパンフレットの文章からも読み取れる。曰く、AXiSのエピソードのエピローグで流れているBGMは「初夏の手紙」だという。少なくとも総支配人は、わざわざ「追伸」でそれを明らかにしている。ということは、今回のライブでやたら強調された紙飛行機は、「初夏の手紙」で間違いない。というより、このライブそのものが、「初夏の手紙」だろう。そうなると、「SEASON OF LOVE」は、初夏の意味合いを、少なくとも含んでいる、というのが、私の解釈である。

 

しかし、「初夏の手紙」とは、これまた何か思わせぶりな追伸である。思い返せば、今回のセトリは、直接的にAXiSのエンディングだった777☆SISTERSの「NATSUKAGE-夏陰-」にせよ、もう少し広く取って「ハルカゼ~You were here~」にせよ、或いは手紙ということならLe☆S☆Caの「ミツバチ」にせよ、ナナシスのシナリオの内外で起きた変化や別れを、どことなくにじませている。長い人生の中、ほんの一瞬交わった人々が、お互いの変化を受け止める。そんな曲たちだ。

 

翻って、私の方に届いた「初夏の手紙」は、何をもたらしてくれたのだろうか。会場を去り、海浜幕張駅の近くで相方と食事をしたその後の帰路、ふと空を見上げた。相変わらず空はどんよりとしていて、夜の暗さをぼかしていた。

 

しかしそのうち、雨が細々と、はっきりと降り始めた。私にとっては、それで十分だった。

 

愛を受け取った私の身に、すぐ何か変化が起きるわけではない。変化といえば、ライブは一瞬の非日常だった。しかし、それが過ぎれば、またいつもどおりの毎日が待っている。それでも、私は元気だし、ほんの少しの灯りを心に灯しながら、いつもより目線を高くして歩いている。天気だって、恨めしい曇りから本降りになり、そのうち、季節の大きな流れの中で、ゆっくりと、初夏の日差しへと移ろいゆくだろう。「SEASON OF LOVE」という手紙は、むしろ、私にほんの少しの変化を与えてくれた。その「ほんの少し」を与える何かこそが愛なのかもしれない、という含みを示しながら。

 

右手を見やる。傷絆を巻いた親指は、元のように痛んでいた。この痛みも、いつかは治っていくだろう。変わりゆく毎日の、今しばらくの道しるべとしてみるのも悪くない。そんな、青く未熟で、若々しいことを久しぶりに思った帰り道だった。

 

 

(了)

 

<新版>初心者のための『あいりすミスティリア!』(あいミス)

以前、ウィルちゃんのかわいさを垂らし流すついでに書いた『あいりすミスティリア!』(18禁DMM版は『~R』、以下どちらも『あいミス』表記)の初心者向け記事が、なぜかやたら閲覧されている。おそらく、どこも攻略情報を書いていないからなのだろう……。

 

とはいえ、流石に情報が古くなってきたので、一応あんな記事を書いてしまった身として、AndroidiOS版がリリースされるまさにこの時期のために、新しく初心者向けのガイドラインを残しておこうと思う。

 

目次

 


 

1.リセマラは必要?

 

結論: いらん。

 

多くの人は勘違いしているが、『あいミス』は根本的にヒロインとのコミュニケーションやヒロインの物語を楽しむ作品だ。18禁版はベッドシーンもある。リセマラは、「このキャラかわいい!」と思った段階で終了していい。当然、一発目で来る可能性もあれば、なかなか引けないこともあるだろう。その意味で、リセマラは生じるかもしれない。ただ、ゲーム攻略が~という話になると、リセマラはあまり意味がない。

 

攻略上、「今このキャラがいればなあ」と思うことはあるが、基本的には好きなキャラに愛を注ぎ込めば、それが低レアだろうとキチンと活躍の場を作ってあげられる。『あいミス』は、そういうゲームだ。

 


 

2.じゃあガチャは無視していい?

 

結論: とりあえず引けるだけ引け。

 

じゃあ初心者のうちから石を貯め、好きなキャラの限定が来たらぶん回す、という方針でいいのかと言われると、これは明確にNOだ。

 

『あいミス』の戦闘システムにおいて、一番重要な要素は属性だ。各キャラの各カードには、予め<力・芸・知・理・心>の5つの属性が割り振られている。通例、めんどくさいので色で判別している(左から対応して<赤・緑・青・紫・黄>)。

 

『あいミス』では、エネミーに対して有利な色であれば、Rでも採用できる可能性が高い。敵によってはNでも採用する。逆に、色が不利の場合、SSRでもお留守番だ。

 

とはいえ、始め立てのプレイヤーに、キャラが全体として育っていない状態でRやNを使えというのも酷な話だ。なので、基本的には、

 

・全ての色でSRが1枚以上ある

 

という状態になるまで、ガチャを引き続けることをオススメしている。

 

このゲームでは、SR以上には必殺技にあたる「萌技」が与えられている。また、SR以上になると、戦闘中何回か使える「スキル」や、パッシブで発動する「アビリティ」に強力なものが増えてくる。なので、各色にSRが1枚あると、一気にストレスが軽減されるだろう。

 

余談だが、このゲームでは、SRのスキルやSSRのアビリティをRやNにも付けることができる。『あいミス』において、RやNでも活躍できるもう1つの理由は、ここにある。

 

キャラは基本的になんでもよい。最後に付録としてキャラの特徴を羅列しておくので、必要な場合は参考にして欲しい。

 


 

3.ガチャ回しも終わった! 次に何をすれば?

 

『あいミス』は、チュートリアルが残念なことに定評がある。というか、育成要素が多すぎて、初心者ではとてもとても全容を掴みきれない。

 

初心者がまずすべきことは、下の2つのうちのどちらかだ。

 

(イ)メインシナリオの周回

(ロ)イベントの周回 (※開催中の場合)

 

順に説明していこう。

 

 

(イ)メインシナリオの周回

 

なんだかんだ、どのゲームでもメインシナリオは大事だ。『あいミス』もその例に漏れない。

 

メインシナリオは、その内容自体、『あいミス』のウリの1つだ。高名なエロゲブランド・オーガストが作成している、肝いりの物語なので、これ自体も楽しめるだろう。

 

一方、メインシナリオはキャラの育成の面でも大切だ。というのも、メインシナリオでNカード(聖装)がドロップするからだ。

 

Nを回収するメリットは大きく2つある。1つは、N聖装に付いているアビリティの強化が行える点。もう1つは、N聖装強化が条件になっている「ポテンシャル」の開放が可能になる点だ。

 

このゲームにおいて真っ先に強化すべきなのはアビリティだ。アビリティの効果はすさまじく、たとえば代表的物理アタッカーのソフィについて見てみると、NアビリティをMAX強化するだけで攻撃に34%のボーナスが付く。中途半端に育てたR/SRアビリティや、使いどころが限定されるようなSSRアビリティよりも、Nアビリティのシンプルな効果が優先されることも多い。なので、初心者はまず、Nを集めてアビリティを強化した方がよい。

 

もう1点、別の育成要素として、「ポテンシャル」というものもある。こちらは、キャラ全体を強化するものだ。『あいミス』では、あるキャラ1回の編成につき、アビリティを3つまでしか装備させることができない。一方、ポテンシャルは、付いているアビリティに関係なくいつでもそのキャラに対して有効だ。アビリティが具体的な敵やクエストを念頭に置く作戦要素だとすれば、ポテンシャルはキャラそのものを底上げする純然たる育成要素だと言えるだろう。

 

N聖装のレベル上限を上げ、さらにレベルを上げていくと、N制服なら敏捷、N私服なら防御のポテンシャル開放が視野に入ってくる。ただし、ポテンシャルはいつでも有効な代わりに、アビリティに比べステータス強化度合いが小さい。たとえば、ソフィの攻撃ポテンシャルはレベル1で+4%だ。レベル1のNアビリティ(攻撃up)は、優に2桁%を超える上昇率である。なので、最初はアビリティを強化した方がいい。

 

 

(ロ)イベントの周回

 

一方、イベントも重要だ。『あいミス』では、基本的に隙間なくイベントが組まれている(例外は、メインシナリオに追加があった場合など)。

 

イベントには幾つかパターンがあるが、そのいずれでも、基本的には

 

・イベント限定SR聖装

 

が入手可能だ。上述のとおり、SRは大事なので、それだけでも嬉しいものだ。

 

また、イベ限SRはイベント中かなり数が手に入る。これはつまり、SRのアビリティやSR聖装そのものの強化がとてもやりやすい、ということだ。この機を逃す手はない。

 

イベ限SRはその後の入手機会も限られるので、基本的にはイベントで完凸を狙いたい。ただ、初心者には難しいこともあるので、そこは無理せず、上の(イ)と様子を見ながら進めてみて欲しい。イベントの詳細については、後ろの章で触れたい。

 

 

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4.ヒロイン以外の育成要素は?

 

『あいミス』では、ヒロイン以外にも幾つか育成要素がある。まず、プレイヤーレベル。こちらは、やっていけば自然に上がる(というか、逆に狙っても伸びない)。戦闘中発動可能な「冥王スキル」や、スタミナに当たるBPの上限に影響する。が、こちらは工夫して伸びるものでもないので、焦らずのんびりと構えていて欲しい。

 

もう1つ、こちらが重要なのだが、

 

・学園の施設レベル

 

を上げることもできる。

 

こちらは、クエストクリア時などに入手できる「冥界銭」を消費することで育成可能だ。学園は、ヒロインのコミュを発生させるのに重要な他、ポテンシャルの開放に必要な「ポレン」の唯一の入手先でもある。基本的には、学園用のスタミナであるAPを消費して、ポレンを集めていくのが日課になるだろう。その他、やはり一部ポテンシャルの開放に必要な「鍵」、キャラ用(聖装用)の経験値アイテムである「珠」、それから各種スキルのレベルアップに必要な素材が手に入る。

 

学園の施設レベルが上がっていけば、当然手に入るものの量や質も上がっていくので、ひとまずは

 

・学園全施設レベル3

 

を目途に頑張って欲しい。

 

冥界銭は、各種クエストの報酬としても貰えるが、専用のクエストもある。「出撃」メニューから「曜日クエスト」を選択すると、「冥界銭ハント」というのが目に付くだろう。各レベル1日2回までの制限付きだが、BP消費1で挑戦可能だ。『あいミス』では1分で1BP回復するので、事実上BP消費無しだ。なお、挑戦回数は石を割れば回復可能だが、流石にそこまでするメリットは通常ないので、推奨していない。

 

 

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5.クエストで詰んだ! なんだこのゲーム!

 

基本的に、各色につきSRが1枚以上あれば、それなりにサクサクとクエストを進められるはずだ。ただ、一部クエストは(様々な事情で)難度が高くなっており、そこで詰む可能性は否定できない。具体的には、

 

・メインシナリオ2-9・5-16・6-10・7-15・7-16

・イベントの高難易度クエス

(・限定クエストの高難易度)

 

など。

 

その場合、以下の要素をチェックしてみて欲しい。

 

(イ)色は(特にボスに対し)有利を取れているか?

(ロ)アビリティは強化されているか?

(ハ)相手は物理/魔法のどちらかに強くないか?

(ニ)特定のキャラ/特定のスキルが有効でないか?

 

 

(イ)色は有利を取れているか?

 

上述のとおり、基本的に『あいミス』は色ゲーだ。SSRの強力な素のステータスに甘えていると、頻繁に詰んでしまう。そういう時は、一度騙されたと思って、有利色のRにSSRのスキルや強化したアビリティを付けてみて欲しい。

 

ちなみに、メインシナリオ2-9や5-16で詰んだと騒ぐ人の7割は、この(イ)が原因である(※個人の感想です)。

 

 

(ロ)アビリティは強化されているか?

 

これも既に書いたとおり。Nアビリティすら強化していない状態で出撃すれば、それは詰んでしまうだろう。メインシナリオ2-9・5-16で詰んだと騒ぐ人の残り3割はこちらが原因。

 

 

(ハ)相手は物理/魔法耐性を持っていないか?

 

こちらは状況依存なのでなんとも言えない。確かに、一部の敵は物理または魔法のどちらかに強いことがあるので、物理ばかり、魔法ばかりの編成で挑んでいる場合は、メンバーを一部変えてみるのもアリだろう。

 

 

(ニ)特定のキャラ/スキルが有効ではないか?

 

これは(ハ)よりさらに限定的なシチュエーション。たとえば、相手の回避率が異様に高い、状態変化「飛行」バフを使うせいで、ろくに物理攻撃が当たらない、などの場合、ティセの持つ落とし穴スキルが非常に有用だ。また、相手が単体のボスの場合、SRポリンの持つ被ダメ時デバフのアビリティが強力なケースも多い。

 

このように、状況依存的な攻略は、それこそネットの海を漁るか、自分で色々試すかして見つけてみて欲しい。

 

 

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6.イベントはどう進めればいい?

 

『あいミス』におけるイベントは、幾つかのタイプに分類できる。最も大きな括りで分けるのであれば、

 

(イ)学園要素が絡むイベント

 ・ クエストだけのイベント

 

と分類できる。クエストだけのイベントは更に、

 

(ロ)イベントアイテムをショップで交換するイベント

(ハ)クエストに応じて順繰りにミッションを達成していくイベント

(ニ)レイドボスイベント

 

に分けられる。

 

全てのイベントに共通して、目玉は、

 

・イベ限SR

 (※SR+も性能はSRと同じ。18禁版で濡れ場があるかどうかの違い)

・聖片

 (※付録の「キャラ育成要素まとめ」にある「萌具」参照)

 

であり、その他、

 

・限定召喚チケット

SSR素材(特に宝石)

 

を狙っていくことになる。

 

 

(イ)学園周回型イベント

 

このタイプのイベントでは、学園で手に入るイベントアイテムを、時間経過で開封していく。開封するイベントアイテムのレアリティによって、開けた際に貰えるものの水準が上がる。また、レアリティを問わず、イベントアイテムを開封した個数にミッションが定められていて、こちらを達成することでも報酬が手に入る。

 

もちろん真面目に時間経過を待つ人などいるわけもない。同時に開催されるイベントクエストで時短アイテムを入手し、片っ端からイベントアイテムを開封していくのが基本。特に、イベ限SRや聖片は開封個数ミッションの方にあるので、最初は必要時間が短い=時短アイテムの必要量が少ないNイベントアイテムを大量に開封し、ミッションに目途がついた段階で、SRやSSRなどの大物イベントアイテム狙いに切り替えていく。

 

 

(ロ)イベントアイテムをショップで交換するイベント

 

なんのことはない。出来る限り高難易度のイベントクエストを、できるだけ沢山周回すればいいだけだ。

 

ポイントは、最初はイベ限SRを入手し、イベントアイテムを大量に入手できる環境を整えておくこと。これはどのイベントでも共通して言える。

 

 

(ハ)順繰りにミッションをこなしていくイベント

 

専らクエストクリア回数か、イベントアイテムの入手個数にミッションが定められているイベント。ほとんど(ロ)のイベントと同じなのだが、こちらはプレイヤーが自分で報酬を選んでいくことができない。(ロ)の場合、ショップでどの報酬と引き換えるかはプレイヤーが決定できるが、(ハ)タイプの場合、それはできない。

 

 

(ニ)レイドボスイベント

 

最近実装されたばかりのイベント。ぶっちゃけるとレイドボスは初心者には強すぎるので、無理して超級や絶級を目指さず、自分のできるレベルに合わせて周回して欲しい。どのレベルでも周回しておけば限定召喚チケットなどが入手できるので、そこは心配せずとも大丈夫。イベントアイテムを入手し、ミッションなどを通じて報酬をゲットするのは他のイベントと同じ。

 

 

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7.だいたいやることはわかった! それ以降は? 課金はいつする?

 

ここまでやっていくと、だいたい『あいミス』にも慣れてくる頃だと思う。それ以降は、「萌具」強化などがメインコンテンツになっていく。詳細は付録の「キャラ育成要素まとめ」 を参照して欲しい。

 

参考までに、課金要素の話もしておきたい。初心者の間は、無償石がジャバジャバ手に入るので、石の心配はせずともよいと思う。『あいミス』の課金要素は、正直ガチャ以外あまりない。なので、課金のタイミングは、

 

・自分の好きなキャラが限定SSRで登場した時

 

と断言できる。

 

『あいミス』には事実上の天井があり、引き切れなかった場合は、ガチャ時に付いてくる「蒼片」を2000個集めることでもSSR聖装と交換可能だ。ただし、蒼片は入手してから30日経過すると「蒼粒子」に変換され、交換対象がSSR聖装そのものから凸アイテムである「開花の輝石」に変化するので、そこには注意。

 

なお、正月などに、特別で「プラチナ聖装券」が販売されることがある。こちらは、現在ガチャで引くことができない限定SSRとも交換可能な時があるので、特に「始める前に推しの限定SSRが出てる!」という悲しき事態が発生した場合には、躊躇なく飛びついていきたい。

 


 

β版リリース当初は色々心配なことも多かった『あいミス』だが、半年経って、それなりの安定感を見せるようになってきている。願わくば、今始めようと思っているあなた、今始めたばかりのあなたも、『あいミス』の世界を堪能できますように。

 

 

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付録A キャラ育成要素まとめ

 

・聖装レベル

 N~SSRまで、各聖装そのもののレベルを上げられる。

 経験値は聖装備ごとに管理される。

 クエスト参加でも経験値は手に入るが、専ら学園で入手可能な「珠」を使う。

 レベル上限は聖装を重ねることで(凸ることで)開放可能。

 なお、重ねる際には聖装ではなく「開花の輝石」というアイテムに変化している。

 

・スキルレベル

 スキルは戦闘中何回か使用可能な特殊技。

 各聖装につき、1ないし2個付属している。

 同一キャラであれば、他の聖装にも付与することが可能。

 スキルレベルは、指定された素材を消費することで10まで上げることができる。

 素材のうち、宝石は入手難度がやや高い。

 

・アビリティ

 アビリティは、クエスト参加時に3つまで持ち込める。原則としてパッシブ。

 効果量が非常に大きいことが特徴。

 スキル同様、同一キャラであれば他の聖装でも着用できる。

 レベル上げには、元々そのアビリティを持っていた聖装の「開花の輝石」を使用。

 最大で3まで上げることができる。

 

・ポテンシャル

 あるキャラ全体に対して有効なステータスアップ。

 一部ポテンシャルには、「鍵」「特定の聖装のレベル」などの開放条件がある。

 原則、学園で入手できる「ポレン」を消費して、最大で3まで育成可能。

 なお、ポレンの数はキャラごとに管理されている。

 

・想飾

 厳密にはキャラの育成要素ではない。

 レベル上げなど一切不能、入手は特定クエストクリアなどによる。

 全てのキャラに対し装備可能で、ステータスを僅かに上昇させる。

 

・萌具

 各キャラ固有の装備品。

 R萌具はショップにて冥界銭と交換することで入手できる。

 SR萌具はそのキャラのR萌具をレベル15まで育成することで入手可能。

 SSR萌具は、「聖片」を20個とショップで引き換えることができる。

 聖片は、SR萌具のレベル15・20達成ミッションやイベントなどで入手する。

 聖片は非常に入手難度が高い反面、SSR萌具の効果は絶大。

 なお、萌具はステータスアップではなく、ダメージ計算の際に用いるとみられる。

 萌具のレベルは、冥界銭と専用強化アイテムを用いる。

 専用強化アイテムは、曜日クエストやイベント引換にて手に入る。

 

・親愛度

 学園周回・プレゼントなどで上げることができる。

 親愛度を上げることで、回想ページにおいてコミュの閲覧が可能になる。

 また、親愛度1000ごとに、キャラの全パラメータに1%のボーナスが付く。

 

・所持聖装ボーナス

 単純に、そのキャラにつきどれだけの聖装を持っているか、

 その聖装をどれだけ強化しているか、で算出される。

 そのため、ここは自然と数値が大きくなっていく。

 

・聖装ストーリー開放ボーナス

 聖装ストーリーを回想画面で開放すると、該当する聖装を装備した場合のみ、

 パラメータにボーナスが付く。

 上2つと異なり、これはキャラ全体に対し有効ではないので注意。

 

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付録B キャラ紹介

 

《前衛物理アタッカー》

・ソフィ

 THE 超火力エルフィン。基本的に単体攻撃のエキスパートで、全体攻撃はスキルなどを含めてもほとんどしない。その代わり、やれ相手の防御を下げるだの自分の攻撃を上げるだの相手の防御を無視するだの、とにかく火力を底上げするスキルが揃っている。反撃率を底上げしてあげると、もりもりカウンターを決めてくれるのが特徴。

 年齢ネタの使い手ではあるものの、おっぱいは大きいしちゃんとエロいので、まずこの子を好きになる人も多いかも。

 

ベアトリーチェ

 高速アタッカー。コト同様、回避率や即死率の高さが売り。ただし、コトとは違い、火力控えめな代わりに、全体攻撃スキルや遠隔攻撃(相手の後衛への物理攻撃)ができる。恒常SSRのアビリティが微妙に使いにくいので、運用する場合はSR以下のアビリティを使いたい。

 冥王のお世話係として冥王自身によって造られた存在だが、そもそも『あいミス』時空では地上の生き物はだいたい冥王によって造られているので、その点差異化できているのやら……。

 

・コト

 第1回人気投票1位のサムライ。高速・即死・回避が売りだが、こちらは単体攻撃が多め。昼寝キャラなのもあり、(自分の)睡眠に関するスキルや萌技もある(ので、そこは若干使いにくい)。

 このキャラの魅力は終了したイベントでフォーカスされていたので、閲覧したい場合は復刻を待つか、場合によっては回想メニューから閲覧するよりない(が、参加していないイベントのシナリオを閲覧できるかは不明)。

 

・パトリシア

 邪念撲滅ちゃんことクリスの後輩神官。ここ最近調整が入り、連撃率が上方修正された。魔力が高いほど火力が上がる物理判定のスキル持ち。イベ限SRでは通常攻撃魔法化アビリティが配布されたので、パトを使いたい場合は参考に。

 基本的には健気な後輩ちゃん……なのだが、先輩がヤバい存在であるとバレンタインイベやメインシナリオ7章でバレたので、一気にツッコミキャラへ変貌した。

 

・ラウラ

 高速アタッカー。即死・回避も高いが、何より相手からアイテムを盗む(=ドロップさせる)スキル持ちな点で特異。周回のお供とも言う。ステータス上は全キャラ中最速なので、基本的に上から殴る係。恒常SSRのアビリティが優秀で、SRのアビリティも強力。色の関係で盗みではなくアタッカーとして運用したい場合には、限定SSRのスキルも視野に入る。

 どのゲームでもそうだけど、半獣キャラはかわいい。あと声が癒し。

 

・ヴァレリア

 ステータス上は紙耐久・高回避キャラ。この子も魔力が高いほど威力が上がる物理判定のスキルを持つ。特徴は吸血能力で、一部スキル発動時に体力を回復する。イベ限SRで通常攻撃時吸血アビリティが配布されており、これがあるのとないのとではかなり違う。恒常SSRより優先したい。

 イマドキの女の子を夢見る箱入り吸血鬼という設定が秀逸で、何をやらせても可愛い。

 

シャロン

 鈍足・高耐久・高火力アタッカー。範囲攻撃も多く、雑魚敵の多いクエストの周回では主力になるだろう。恒常SSRを引けているかどうかがかなり大きいので、気に入った場合はSSRの早期取得を強く推奨。

 ドラゴニアということで、話のスケールがだいたいデカい。尻尾がいいよね、尻尾が。

 

・リディア

 2019年の3月に実装されたばかりの天使。なんと数値上はソフィさんを凌ぐ超物理火力を誇る。ソフィさんがスキル重視の運用をするのに対し、リディアは萌技重視の運用が主体(そのため、R以下がやや使いにくい)。使いたい場合は恒常SR・恒常SSRを粘りたい。恒常SSRの萌技がユニークで、敵前衛をまとめて後衛まで打ち飛ばしてしまう。これが強力なサポートであることは、メインシナリオ5章を突破した人なら分かるはずだ。

 実は微ネタバレキャラなので、詳細は割愛。筆者のお気に入りのヒロインの1人。

 

・ギゼリック

 こちらも実装は割と最近。ステータス上は高火力には見えないが、スキルやアビリティをよく見ると、自分を毒にしたりなんだりしながらぐいぐい火力を押し上げていくキャラだと分かる。ただ、その代わり長くはもたない。

 全キャラ中最大のおっぱいに心ごと奪われるプレイヤーが後を絶たない。お酒も付き合ってくれるし、ね?

 

 

《前衛バランス型》

・アシュリー

 アタッカーでもタンクでも運用可能だが、基本はアタッカー寄り。敏捷依存のスキルがあるので、どちらの運用でも敏捷重視の育成をしたい。スキルはシンプル・イズ・ベストという印象を持つだろう。限定SSRが強力なので、アシュリーを使う場合は引換券とも睨めっこ。

 シナリオの最初に登場する女騎士。まあ性格もそういう感じよね。

 

・ファム

 育成しきるとウィルちゃんを凌ぎ全キャラ級最高の幸運ステータスを誇るようになる。かなり特殊なキャラで、スキルはフィールド変化なども含み、通常攻撃は火力がやや低い代わりにデバフの影響を受けない。また見た目とは裏腹に超耐久であり、基本的にタンクと同じくらいまで耐える。ロリ恐るべし。

 言葉遣いはロリだが、精神力が推定ヒロイン中相当上位。くぐり抜けてきた哀しみの数が違う。18禁版だとベッドシーンが完全にファム主導。ロリ恐るべし。

 

・ルージェニア

 通称姉姫。自分の体力を削って防御無視の攻撃を仕掛けるキャラ。とはいえ、ギゼリックほど低耐久でもなく、回復技もあり、といったところ。一部クエストでは鬼のような強さを見せる。アビリティで味方前衛を強化するのも特徴。

 センスが壊滅的なネタが結構多いが、筆者は性格含め好感を持っている。

 

 

《前衛タンク》

・クレア

 このゲームは必ずしもタンクが必要な類のゲームではないが、出番がないわけではない。びっくりするほどの物理耐久と、効果の大きい挑発スキルで、まさしくタンクの役割を担う。攻撃スキルも専ら防御依存。ただし、このゲームは魔法防御と魔法攻撃のパラメータが同じなので、運用する場合は魔力の底上げも図りたい。

 ドMだが作中屈指のイケメン。2019年の1~3月に開催されたイベントでは出番が相当あり、その中でプレイヤーからの評価もグイグイ上昇していった。

 

 

《前衛サポート・特殊運用》

フランチェスカ

 サポート役の回避ガール。攻撃スキルが物理に回っているものの、採用するケースは少ないだろう。バフ・デバフでの運用が主体。場合によっては後衛でもよい。

 踊り子ってそれだけで魅力的だよね……というキャラ。単体でも可愛いが、シナリオや学園コミュで他キャラと絡みだすとさらに可愛くなる。

 

・ポリン

 防御は高くないし魔法攻撃だし後衛か、と思いきや、恒常SRやイベ限SRのアビリティで相手にデバフを撒く係に変貌するので前衛キャラ。発動条件が「被ダメ時」なのが特徴。このように、基本的に運用にはSRが必須。レイドボスを除く単体ボスに非常に強く、育成しきると1人で周回可能になるという報告もある。

 貧乳を気にする大魔導士だが、貴族設定がキチンと活かされているのもポイント。

 

・クルチャ

 後衛での運用も可能な回復役。ただ、回避・敏捷のステータスが高いので、こちらは前衛での活躍が見込める。通常攻撃魔法化はイベ限SRにあるので、クルチャを使いたい場合はこちらも視野に入れたい。

 この子も高精神力ガールの孕みたガール。兎の生殖力は高い。

 

 

《後衛物理アタッカー》

・ティセ

 弓兵。敏捷依存の攻撃スキルもあるが、その最大の特徴は罠スキル。こちらが回避した時に発動するスキルと、相手が回避した際に発動するスキルがある。回避主体の敵に対しあまりに強かったため、レイドボス戦では罠による固定ダメージ数値が下方修正されている。

 部屋では素っ裸ガール。実はソフィと面識があり、そのあたりのエピソードも見どころ。

 

・イリーナ

 小さな大ガンマン。実は前衛での運用もできる。敵を倒していく度にバフを乗せていくのが特徴で、単体ボスというよりは通常クエスト周回向け。出血をもたらすスキルも多い。

 これもロリ体型。謎の決め台詞を持つ少女。他キャラとの絡みでいきいきしてくるキャラ。

 

《後衛魔法アタッカー》

・ラディス

 シンプルな魔法アタッカー。売りは恒常SRにある魔力吸収スキル。この効果量がかなり大きい。イベ限SRに通常攻撃魔法化のアビリティがあるので、こちらも取得を目指したい。

 このキャラは物語のネタバレに触れることになるので、詳細はメインシナリオを参照。

 

・エルミナ

 多分全キャラ中一番名前を覚えられていない人。使われていないわけではなく、むしろ自業自得。範囲攻撃が多いことが特徴で、雑魚の多いクエストで真価を見せる。通常攻撃にデバフを乗せるのも持ち味の1つ。なお、通常攻撃魔法化アビリティはイベ限SRにあるので、こちらを最優先にすること。

 ロリコンであり、アビリティに「ロリキャラがいる時性能アップ」という衝撃の文字列が並ぶやべー人。なお冥王のことも別腹で大好き。もはや『あいミス』において「ロリコン」は固有名詞であり、そのせいでだいたいの人が名前を記憶していない。

 

・セシル

 数字上は最高の魔法ステータスを誇るが、仕様が特殊で、基本的に通常攻撃ではラディスの方がダメが出る。スキルと萌技ではセシルの方が圧倒的に上。イベ限SRにぶっ壊れ全体攻撃(マダンテ)があったが、流石に火力が下方修正された。それでも強力なことには変わりはないのだが。アビリティで精霊を装備する……のだが、『あいミス』には色とは別に魔法にも属性があり、その区別が困難を極めている。基本的に、SSRの精霊を装備した方が強い。

 押しかけ女房の前方正妻面であり、2019年に入ってからイベントなどで徐々にフィーチャーされてきたヒロイン。筆者の推しの1人。

 

プリシラ

 ややサポート寄りで、上3キャラに比べると自身の火力は劣る。アビリティは通常攻撃魔法化を除くとだいたい前衛/全体強化で、中でも恒常SSRの前衛回避率アップが魅力的。また貴重な弱体付与持ちでもある(弱体は全ステータスダウン)。通常攻撃魔法化はイベ限SRでの配布であり、必要な聖装が多く、運用はやや難度が高い。とはいえ、その代わり他のキャラでは絶対にできない立ち回りを実現してくれる。

 通称は妹姫。または尻姫。他の人のお尻が大好きというなかなか愉快な性癖を持っている。

 

《後衛回復・サポート》

・クリス

 純然たる回復役としては最高峰の性能を誇る。ほとんどのスキルが回復/サポートであり、一応本人も魔法攻撃は可能だが、その運用は珍しいだろう。昔に比べ蘇生スキルの重要性も上がっているため、最近ますます存在感を増している。

 キャラとしては個性が非常に強い。声優もそういうキャラを長くやっている人を使っている。特にバレンタインイベントで相当にヤバい奴であると判明した。

 

・ウィル

 一時期最高のサポートキャラとしてどのクエストでも出番があった。最近は敵の睡眠耐性の強化によりやや出番は減ったが、それでも最高のサポート役であることは疑う余地がない。仕事としては、敵への睡眠付与が主体。睡眠は、単に行動できなくなるだけでなく、攻撃が必中になってしまい、更にクリティカルが確定する。ウィルは、高い幸運ステータスで相手にバシバシ睡眠をキメていくのが特徴だ。その他、効果量の大きい前衛デバフや蘇生なども担当可能。通常攻撃魔法化はなんと限定SSRにあるので、ウィルに魅了されたあなたは全力で引換券の確保に走った方がよい。通常攻撃睡眠付与は恒常SR。

 かわいすぎてヤバい。もう本当にかわいい。かわいくて強いとか最高か。

 

 

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傑作の正統なる「続編」とは 【『金色ラブリッチェ-Golden Time-』プレイ感想<ネタバレ注意>】

 

私たちは、愛のボルテージでどこまで突っ走ることができるのだろう。

 


 

作品概要

・高評価を受けた『金色ラブリッチェ』の「続編」

・前作ヒロインのアペンドシナリオの他、昇格ヒロインの本ルートも収録

 

プレイする前に確認!

・『金色ラブリッチェ』(無印)のネタバレを含むので、前作のプレイを強く推奨

 

ここがオススメ!

・昇格ヒロインのシナリオはイチャラブにHに大満足の仕上がり

・BGMとボーカルトラックの出来栄えが秀逸

・ギャグパートと(所謂)しっとりシーンの緩急の差が見事

 


 

※以下はネタバレを含む。

 

2017年の暮れ、SAGA PLANETSが世に送り出した『金色ラブリッチェ』(以下『金恋』)は、その圧巻の完成度からアダルトゲーム界隈を席捲した。あれから1年強、SAGA PLANETSとしては非常に珍しいことに、同一タイトルを用いた新規作として『金色ラブリッチェ-Golden Time-』(以下『金恋GT』)が発売されるに至った。

 

この作品は、『金恋』の「続編」だ。アダルトゲームの世界でよく見られる「FD」ではない。実際には、『金恋』にて攻略可能だったヒロインの大半については短いアペンドシナリオ(アフターストーリー)のみの収録であり、また新規シナリオを獲得したヒロインも全て昇格であったから、「FD」的な要素はそれなりに強い。それでも、この作品は共通ルート(同作では「PROLOGUE」表記)からして『金恋』と異なるものを採用しているし、プレイヤーに情報が与えられるタイミングも大きく異なっている。所謂「IF」的要素を多分に含む作品であり、「続編」と称されても違和感はあまりない。

 

(※『金恋GT』初回版付属の原画集において、原画のとらのすけや有末つかさは本作を「金恋FD」と称していることを付記しておく。)

 

実際のところ、『金恋』の「続編」を作るのは相当大変だったのではなかろうか。そのことは、「PROLOGUE」すなわち体験版部分での理亜と主人公の会話からもうかがえよう。理亜は語る。きっちり完結した作品の続編は蛇足感がある、と。『金恋』は、その優れたシナリオ構成が賞賛されることからも分かるように、それ単体で完成された作品だった。いかにアダルトゲームの世界が、そして所謂「サブカル」世界の想像力が、「可能性」や「複数世界」といった単語に惹きつけられてきたとはいえ、あそこまで「不可避的」な運命を描き切った『金恋』の「続編」ともなると、それなりの理屈を用意せねばならない。

 

その答えもまた、同じシークエンスの中で示されている。理亜の問いに、主人公はこう返した。テーマ性を重視した1作目に対し、キャラへの愛着が湧いた段階で作られる2作目は、そのキャラたちと楽しく過ごす、これで十分なのではないか。それが、鑑賞者-プレイヤーの求めるものではなかろうか、と。

 

このコンセプトは『金恋GT』において一貫している。事実上のアフターストーリーである前作ヒロインのアペンドはもちろんのこと、昇格ヒロインの絢華とミナの本編シナリオでもしっかりと守られていた。その割に、物語(や雰囲気、描写の細かさ)に緩急がないわけではなく、むしろきっちりとつけられているのが素晴らしい。特にミナルートでの湖畔CGの描写は圧巻で、シナリオライター、流石の技術だ。綾華にせよ、ミナにせよ、話をよりシリアスにすることはいくらでもできたはずだ。その手段を取らず、コンセプトに沿う形できっちりと話をまとめる。平凡なようで、制作側に相当の練度が要求される作り方だったはずだ。その意味で、『金恋GT』は紛れもなく労作である。

 

では、「2作目」に「テーマ性」はなかったのだろうか? この質問に答えることは難しい。「テーマ性」という語の定義にもよる。少なくとも、特に『金恋GT』の理亜ルートは、『金恋』(無印)のGOLDEN TIMEルートとは異なる結末でシナリオをまとめたことは事実だ。だが、だからと言って『金恋』の持っていたある種の方向性が全く失われたわけではないだろう。ゴールデンタイムという言葉や、「カッコいい」という形容詞を用いて、キャラクターの生、いや生き様や生き方を描写しようとする姿勢は、『金恋GT』、特にマリアルート(以下同一人物のため理亜ルート表記)においても観察される。綾華ルートのみ、「ゴールデンタイム」という言葉を少し変わった形で使ったと思われる(テレビによって届けられる「最高の時間」と、それに関わっていた頃の情熱溢れる綾華の姿)。

 

理亜ルートをプレイすると、その結末のご都合主義感にびっくりする人もいるかもしれない。しかし、これにしても結局、前述のコンセプトを完遂するためには必要な措置であったし、『金恋GT』が制作されるにあたり前作プレイヤーからどのような要望が寄せられたか推測すれば、この結末はあらゆる意味で必然だった。また、誤解している人も多いだろうが、『金恋』GOLDEN TIMEルートにおいて真に重要なのは、理亜の死ではない。上で述べたように、死という不可避の運命と対峙してもなお自身の価値観を全うしようとした理亜の生き様の方が、『金恋』という作品においては重要なのだ。そう考えると、今作の理亜ルートもまた、自身の、恋人の、そして親友の死に直面したそれぞれのキャラがどのような決断を下すかにきちんと焦点が合わさっており、『金恋』の方向性と一致していることが分かる。『金恋GT』では、実際に死をシナリオに組み込む代わりに、「生」(すなわち、何かが生まれること、何かを生むこと)を加えることでそれを表現したに過ぎない。

 

それでも、この作品における理亜ルートは、結局1つのあり得た「可能性」に過ぎないかもしれない、という事実が、プレイヤーの胸を苦しくする。理亜ルートの最後において、主人公が投げ入れた箱の中に入っていたのは、銀のラブリッチェマークだ。これはすなわち、この「可能性」における主人公が湖に投げた箱は、湖によって祝福されていない、ということだ。『金恋』においても、『金恋GT』においても、幼少期の主人公・シルヴィ・理亜3人が拾うのは、金のラブリッチェが入った箱である。そして、これを投げ入れたのは、理亜が死に、最終的にシルヴィと結ばれる『金恋』GOLDEN TIMEルート(及びシルヴィルート真エンド)の主人公だ。あたかも、『金恋GT』理亜ルートでは、湖とその神様は理亜の無事というその1点だけ彼らの願いを叶え、それ以外の何も導いてはくれなかった、と言わんばかりだ。銀のラブリッチェを投げようとも、物語は完結する。しかし、銀のラブリッチェを投げることで示されるのは、何色であろうとも光と世界に導かれながら生きようとする、理亜ルートの主人公の強さであり、それ以上ではない。この銀のラブリッチェを投げるという結末を導いたのが、過去に何か贈ることができたとしても何も贈らないという「現在」への強い意識を持った理亜と、未だ来ぬ最上の幸せを追い求め籤という神意にも沿う生き方を送った主人公だったという事実も、今ここで確認する必要があるだろう(逆に言えば、そのような2人の態度を湖が「祝福」したのである)。

 

金のラブリッチェを投げて初めて主人公・シルヴィ・理亜の物語が完成するのだとすれば、『金恋GT』の理亜ルートはやはり「可能性」に過ぎない。すなわち、私たちプレイヤーは、あり得たかもしれない1つのハッピーエンドを見せられているだけだ。そして、このハッピーエンドを噛みしめる度に、かえって金のラブリッチェを投げ入れていた世界を心のより深いところで受け止めることになる。それが、理亜ルートをプレイし終えた後に感じる、この胸の痛みの正体だ。

 

そこまで考えが至ると、やはりと言うべきか、別の意味で『金恋GT』は正しく『金恋』を補完する「続編」であると分かる。何が「運命」で何が「必然」か考えさせながら開幕し、「ラッキーパンチみたいなロマンス」を提示し切った後、「あ~この子がかわいかった」という感慨だけ抱かせてプレイヤーを解放してはくれない、『金恋GT』の、そして『金恋』の深さは、ここにある。

 


 

私たちは、愛のボルテージでどこまで突っ走ることができるのだろう。

 

死か、生か、はたまた永遠までか。

 

(了)

 

【正式サービス記念】『あいりすミスティリア!R』 調整雑感2019-02-05

祝・正式サービス記念 『あいりすミスティリア!R』

 


 

記事作成2019年2月5日

 


 

昨年11月に初心者向けの記事を書いてから早3ヶ月が経とうとしている。最初期は色々と不安だったものの、最近は安定感を見せつつある『あいりすミスティリア!R』(全年齢版はRがない、以下ゲーム部分はほぼ変わりがないので共通して「あいミス」)。

 

この度、めでたくβテストが明け、正式リリースの運びとなった。

 

そこで、本エントリーでは、相変わらず少ない攻略記事代わりとして、一応2018年末くらいからの本ゲームにおける調整などについて、備忘録を兼ねて書き残しておく。都合、前記事と異なり、書いてある内容自体は初心者にとって有益だが、対策は中級者以上向け(メインシナリオ6章ノーマルくらいまで到達済み)、というコンテンツが多い。その点ご承知おきを。

 

1.魔法救済

2.難易度調整(メインシナリオハードモードなど)

3.イベント周り

4.ガチャ周り

5.現在の不遇/不満

 

 

1.魔法救済

 

正式サービスの時に始めた人や、年末年始のキャンペーンで始めた人には全く実感できないだろうが、βテストが始まってから数ヶ月の間、魔法キャラは本当に酷い目に遭っていた。

 

どのくらい酷かったかというと、具体的に不遇ポイントを聞かれて幾つも答えが浮かんでしまうくらいに酷かったのである。

 

(A) そもそも通常攻撃が魔法ではない

これは実は、新規プレイヤーにとっては未だに深刻な問題である。魔法に強いキャラ(ラディス、エルミナ(ロリコン)、セシル様あたり)は、もちろん魔法攻撃の威力が高く、その分物理火力や物理耐久は低めに設定されている。しかし、あいミスにおいては、通常攻撃は原則物理なのだ。

これは何を意味するかというと、魔法キャラはスキルと萌技を撃てるタイミング以外、一切魔法攻撃が出せなかった、ということだ。オートモードだと、スキルは開幕から順繰りに放っていくので、都合戦闘の最初の方はそこそこの火力が出るが、4ターンほど経つと完全にお荷物になってしまうのである。

しかも、魔法キャラの魔法攻撃スキルは使用間隔が長い。おまけに、紙物理耐久が祟って、とてもとても前衛には置けないため、萌技の回転も遅い。これでは、魔法キャラを使うメリットが一切ない。

流石に運営も見かねたのか、2018年末~2019年始ごろから、魔法キャラに対し徹底的なテコ入れが行わ始めた。具体的には、イベント配布のSR+聖装や限定SSRに、通常攻撃魔法化のアビリティを付けまくったのだ。実際、これでロリコンあたりは相当いい思いをし、格段に実戦での運用難度が下がった。

ただ、SR+で配るのは一長一短。限定SSRと違い、イベント周回で手軽にアビリティ強化ができるため、イベントに参加しているプレイヤーであればキャラの大幅な強化が見込める。一方で、イベント以外で手に入れることが難しいため、タイミングを逃すとしばらくずっと強化できないままである(よほどそのキャラが好きで、貴重な聖装券をSR級のカードに使ってもよいと思えるのなら別だが……)。

また、不幸にもと言うべきか幸いにもと言うべきか、まだ魔法火力の本丸とも言える、ラディスとセシル様の強化が来ていない(セシル様は推定2月末に来る。とはいえ、セシル様についてはもう少し違ったテコ入れが必要なのだが)。なかなか時間のかかる作業になりそうである。

 

(B) 魔法>物理の敵が少ない

これも当時はかなり深刻な問題だった。そもそも、RPGの基本はレベルを上げて物理で殴る、なのだが、それにしたって物理偏重が過ぎた。

理由は、魔法の仕様にある。攻撃と防御にパラメータが分かれている物理と違い、魔法は攻防一体のパラメータである。これはすなわち、相手が魔法攻撃を撃ってくる場合、こちらも魔法で対抗していてはいつまで経っても終わらない、ということである。もちろん、味方の物理キャラは大抵魔力が低いので、喰らえば痛手を被る。しかし、大抵の場合、長期戦に持ち込むより短期決戦で挑んだ方が効率も勝率もよかったのだ。そのため、相手が魔法キャラだろうと、容赦なく皆物理編成で挑んでいた。また、上述のとおり、こちらは通常攻撃が物理なのに、相手は通常攻撃も魔法なので、結局魔法キャラで耐久戦は無理だったのである(いくら相手の物理耐久が低いとはいえ、流石に敵の方がダメージが優っていた)。

現在は、敵の方に調整を施すことで、間接的に魔法キャラの救済を図っている。そのヤケクソみたいな調整の産物が、後述7章ハードモードボスではなかろうか。

 

(C) 魔法のいいところが一切活かせない

実は、このゲームには最初から魔法キャラ救済が組み込まれていたのである。それが、「魔法攻撃は原則必中」という仕様だ。これは、相手が回避をガン積みしようと、状態変化である飛行モード(回避超上昇)になろうと、基本的に攻撃が当たる、というものだ。

しかし、βテストが始まってからしばらくの間、基本的に敵は一切回避しなかった。いや、回避を上げる敵はいるにはいたのだが、大抵初期設定値が低く、また紙耐久だったため、敏捷の高い物理(ベア先生やラウラにゃんなど)で上から殴れば解決していた。

また、回避を上げる難ステージもあるにはあったのだが、最悪なことに、相手は魔法キャラで、魔法攻撃に非常に強かったのだ(5章ボス)。長期戦になればなるほど、周りの雑魚敵がどんどんボスの回避を上げていくので、ここでも基本的に、範囲持ち物理(シャロンほか)で雑魚を殲滅し、じっくりボス(まな板)とやり合う、という戦法が好まれた。唯一、恒常SRのスキルに相手の魔力吸収を持っていたラディスだけは使われたが、これもSRだけでは属性相性の問題で非常にしんどかった(ラディスのSRは緑だが、周りの雑魚の属性が赤)。

その後、イベントボスを中心に、回避をガン上げする物理エネミーが多数登場し、この問題は解決されている(限定クエストの強敵クエストでその面影を感じられる)。ただ実際、回避を上げてくる敵は罠持ちのティセを連れていけば解決するので、魔法云々の問題ではない側面もある――罠ティセの強化が行われたのもイベ限SR+だったので、新規層には辛い話だが。

 

このように、魔法キャラの地位向上が必死に行われていることは事実だ。願わくば、セシル様にもその恩恵がありますように。

 

 

2.難易度調整

 

βテストが始まった時、一番プレイヤー泣かせだったのは難易度調整だろう。主に5章ボスのことを指している。

 

当時は本当に5章ボスがしんどかった。もちろん、3章の下っ端天使もしんどいにはしんどかったのだが、5章ボスのまな板には本当に一度酷い目に遭って欲しいと思っていた。

 

正式リリースに合わせて、メインシナリオにハードモードが実装された。また、それに先立って、パーティ編成の数値指標が改訂され、大きく値が切り下げられた。この正式サービス開始に伴う調整で、5章ボスノーマルモードにどのような変化があったのか、正直筆者には測定できない。当時とは育成の練度が違うからだ。なんなら5章ハードモードですら苦にすることなく突破してしまっている。

 

ただ、数値指標を信用するのであれば、難易度は若干下がっているのではないか。属性が偏っていると相変わらず大変なのだが、それにしたって25前後であればなんとかなる――と思うのは、前からずっとやっているプレイヤーの感想だろうか。

 

問題は、ハードモード実装に伴って追加された7章の方だ。当時の5章ボスの理不尽さを既にノーマルモードから醸し出しているのがもうなんというか、ズルい。実際ヤケクソのような難易度調整を施されている――数値上は70と上回るものを持っている限定クエスト中の白狼やガルガンチュアは攻略パターンがあるのに対し、こちらは純粋に耐久・火力・技の付随効果に隙がない。変に回避も高くないから罠にも引っかからない。単体だからポリン師匠を壁にしておけば勝手にデバフ祭になるだろう、と高をくくっていたら、なんと「いてつくはどう」持ちだった上、特殊技が魔法だったためそもそも意味がなかったという。

これについては、5章ボスよろしく、基本に立ち返って「色染め」で行くよりない、というのも、火力が高すぎて等倍でも2回目の特殊技を耐えられないことがほとんどだからだ。参考までに、限定SSR師匠(黄)は開幕特殊技+連続攻撃に当たる2回目の前衛範囲でぴったり落ちるのに対し、R師匠(緑)は耐える。

この戦いで有用なのは、恒常SSRウィルちゃんと、恒常SRラディス(ともに緑)。恒常SSRウィルちゃんは、確率こそ低いが睡眠ワンチャンを狙える。これは本当にありがたく、1ターン相手が行動してこないだけでも相当楽になる(特に、冥王スキルを使っての回復を狙う場合)。また、ウィルちゃんは恒常SRに魔力デバフ、限定SSRにいざという時のための蘇生スキルを持っている。通常蘇生スキルは採用が見送られることが多いものの、今回に限っては、前衛がどれだけ踏ん張れるかという勝負のため、また、オートで回した場合でも誰かが倒れていない限りは空撃ちせず、通常攻撃での睡眠ガチャトライを妨害しないため、採用候補だ。

恒常SRラディスは、強力な魔力吸収スキルが魅力だ。スキルレベルを上げていけば、一回で相手の魔力を2500下げられる。これで回復(主に恒常SRクリス(邪念)が担当)が間に合えば勝負あり。また、スキルの回転が早いのもポイント。工夫としては、開幕はウィルちゃんのデバフで凌ぎつつ、相手が一回目の「いてつくはどう」を撃ってからラディスのデバフが入るようにすると、ぐっと安定感が増す。

基本的に、この戦いでこちら側にかかるデバフは考慮しなくともよい、というのも相手のスキルで勝手にこちらのデバフも解除されてしまうからだ。どのキャラに弱体が付くかは正直運なのだが、こればかりは祈るよりない。睡眠も含めて、なかなか安定は難しいだろう。特に筆者はラディスとクリスが育っていなかったため、大変に苦労した。

 

このように、若干難易度調整に苦労している節は見受けられるものの、総じて最初期よりはぐっと良くなっている。運営に感謝。

 

 

3.イベント周り

 

こちらもリリース直後からだいぶ悩んでいるようだ。最初のイベントといえば、ひたすらにクエスト消化回数をカウントする凄まじいものだった。流石にお試しだったのか、次イベントからは色々工夫がなされるようになった。

 

あいミスのイベントは、細かく分けると3種類だが、大別すると2パターンに分類できる。1つは、単純にイベントクエストを周回するもの。もう1つは、イベントクエストを消化した上で、学園を周回するもの。

 

前者はシンプルで、とりあえず難度の高いクエストを周回していればよい。たまに、低難易度で特効付き想飾を5個手に入れてからの方が時間効率がよい時もあるが、BP効率は基本的に高難易度ほどよいので、迷う余地がない。

最近の運営の工夫としては、出るイベントアイテムの数にそれなりの幅を持たせる、というものがあった。尤も、プレイヤーに誤解を与えるとして、すぐに最低保証ができたのだが。あれはあれでゲームとして面白かったとは思うので、一策ではある。

 

もう1つの学園周回型、これこそ運営の努力の賜物である。このタイプのイベントは、クエストではなく学園で手に入るイベントアイテムの開封個数をカウントしている。クエストで手に入るアイテムは、時短効果しかない。

最初にこのイベントが行われた時は、イベントアイテムが処分できず、48時間待ちぼうけというプレイヤーも実際にいたのだ。一方で、高レアイベントアイテムからは超高確率で召喚チケットが出ていたため、運よく早期にイベントミッションを達成しきったプレイヤーは完全ボーナスステージ、さもなくば死、という凄まじい状況だった。流石に運営に苦情が入ったのか、イベント開催中に臨時メンテナンスが入り、イベントアイテムが処分できるようになった。

以降は、イベントアイテムの騒動が収まった代わりに、高レアアイテムからもチケットがやすやすと落ちなくなった。まあ、このイベントの主眼は普段できない学園の周回にあるので、このイベントが来たら、普段学園に回していないキャラにも目を向けて挙げて欲しい。

 

イベントボスの調整については、上で若干触れたので割愛。

 

 

4.ガチャ周り

 

本当によくなった。ありがたい限り。

 

まず、ガチャの種類が増えた。誕生日記念のガチャもリリース当初は存在しなかったし、ステップアップガチャができたのも最近だ。これだけでも相当に違う。

 

また、蒼片の扱いもぐっと良くなった。この正式リリースに併せて。消えた分の蒼片も別アイテム化され、言うことなしである。

 

ガチャとは直接関係ないが、聖装券の存在も大きい。あいミスは太っ腹で、なんと限定SSRまで交換できるので、ありがたい限りである。

 

継続微課金のサービスもよくなっているので、この辺りは本当に運営に感謝である。

 

 

5.今後の課題

 

現状の不満としては、主に①キャラ、②UI、③ガチャの3点がある。

 

①キャラ、というのは、未だになかなかテコ入れの順番が回ってこない、または、テコ入れの後も少し使いづらいキャラがいる、というものだ。具体的には踊り子。これは、このキャラの使いにくさは根本的に幸運の基礎ステータス値が十分に高くないところにあるからで、ここが解消されない限りは厳しい戦いが予想される(特に、競合相手のウィルちゃんが凄まじい幸運値を誇るので……)。いや、実際イベントSR+で相当使いやすくはなったのだが。邪念ちゃんの後輩については、正式サービスに前後して若干修正が入り、また、バレンタインイベントでも救済がある見込みなので、若干待ち。

 

②UIは、主に学園とポテンシャル関係のUIのこと。とはいえ、これをさっと管理するUIの案がなかなか筆者にも思い浮かばないので、せめてキャラを見やすくする、残り必要アイテム個数を表示する、くらいの工夫しかできないかもしれない(実際、正式サービス開始に併せて学園のUIが更新されたが、大して使い勝手はよくなっていない)。

 

③ガチャの問題は、単純にピックアップが仕事をしてくれない、というその1点。

 

 

いや、正直に言って、相当よくなっていて驚くくらいなのだ。できればそろそろiOS版の情報も欲しい頃だが、それは流石に欲張り過ぎだろうか。今後も楽しくプレイできれば御の字である。

 

あ、あとセシル様とセシル様ママとの3Pの実装もお願いします。

 

(了)

 

2018年エロゲ3選

いよいよ年の瀬である。正直この1年何をやったかさっぱり覚えていないが、少なくともエロゲをしていたことだけは確かだ。ということで、平成最後のコミケも無事に閉会したことであるし、超個人的2018年エロゲ3選をここに書き残しておこうと思う。

 

いくつか注意点。まず、極めて主観的な選出である。当たり前のことだが、強調しておきたい。それから、筆者は特にロープライスの抜きゲーに疎いことと、さらにもう一点、その歴史的価値を判断するにはまだ時期が熟していないことから、『ランス10』を抜いて判断していることを特記しておく。

 

例によって長い予防線コメントもここまで。あとは勢いで書き倒していきたい。

 


 

①『お兄ちゃん、朝までずっとギュッてして!』/Tinkle Position

 

tinkle-position.com

 

紛れもなく秀作である。一つの工夫でゲームのコンセプトを分かりやすく伝えることに成功している。キャラのバランスも取れていて、妹ものとして極めて高いレベルにある。

 

何より、スタッフの妹への愛情が素晴らしい。こちらのブログを読んでいただければ、ここで私の駄文を読むよりずっと、このゲームがいかに考えられた、業の深い作品であるか理解していただけると思う。

 


 

雑談。今年はなにかと「業が深い」ということを考えさせられた1年だったように思う。

 

 

雑談終わり。

 


 

②『みにくいモジカの子』/ニトロプラス

 

www.nitroplus.co.jp

 

超アクセス数が少ない私のブログの中で、数少ない定期的に訪問者を確保しているエントリが『モジカ』の感想である。まあおおよその感想はそちらを参照してもらいたい(ネタバレ注意)。一つ強調しておきたいのは、この作品はこれまでのどんな作品とも違う、ということだ。よくCLOCKUPの作品群と比較する感想を見かけるが、(私見では)ジャンルや作品が描いたものが全く異なるのであまり意味のある比較になっていない。もちろん、これはどちらが優れているいないという問題ではない。どちらも「エロゲ(ー)」として秀作である。

 

 

③『アメイジング・グレイス』/きゃべつそふと

 

cabbage-soft.com

 

『まおてん』(きゃんでぃそふと)と迷った。捻ったシナリオ枠ということで。まあこれも業の深い人間を描いているといえばいるなあ…… 芸術はそういう側面を持っているのではと言われると、否定できない自分がいる。これも感想をブログに投げてあるので過去記事を参照して欲しい(ネタバレ有り)。素材に対して誠実に作るというのは、とてもしんどい作業なのだが、怯まずに挑んだきゃべつそふとのスタッフに精一杯の賛辞を送りたい。シナリオが秀逸なのは間違いないが、それ以外にも制作陣の努力とこだわりが垣間見える快作だ。

 


 

結局、上に雑談でも書いたが、とかく私たちは業が深いのだろう。「生きることが償い」になるはずもなく、私たちは今日も罪を重ねている。エロゲをプレイする時、ふとそういう感覚に襲われることがある。この3選は、そんな私の意識が反映されたものなのだが、少々考え込み過ぎだろうか。2019年も、しばらくは同じことを考えながら過ごしてみたい。

 

(了)